杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



指定管理者制度を考える 杉並区と千代田区の差は歴然
【5】指定管理者制度とは
 指定管理者制度とは


 非効率な「お役所仕事」をカイゼンするため、平成15(2003)年の地方自治法改正で、新たに指定管理者制度が創設された。

 これによって、公共施設の管理を本格的に民間に委ね、より柔軟な経営を行うことができるようになった。

 民間の経営能力を活用し、住民サービスの向上と経費の節減を図ることが目的である。基本的には、いまの日本に必要な制度だと考える。

 この制度を有効に活用することで「お役所仕事」が改善され、役人の出向先・天下り先としての意味合いが強かった外郭団体等が姿を消していくことになるなら、法改正をした意味があったと言えるだろう。

 しかし、「蛇の道は蛇」だ。悪用できる抜け穴がしっかり用意されていた。


 政治家ファミリーであっても、どんどん受注できるようになった


 今回の法改正によって、今後、基本的に、誰でも「公の施設」の管理者(行政権限の行使を代行する経営者)になることが可能になった

 これまでのような妙な規制で、お役所仕事や外郭団体が守られなくなり、広く民間人が指定管理者となって、お役所の業務を遂行できるようになれば、大きなメリットがある。

 だが、一方で、新制度は、前述した政治家に対する受注規制(地方自治法92条の2等)までも適用外にしてしまった。

 このため、政治家ファミリーの関与する企業や団体であっても、この制度を使えば、今後、どんどん公共事業を引き受けることができるようになったのだ。

 しかし、行政側の指定によって仕事を引き受けようと、入札・請負契約によって仕事を引き受けようと、実際に行う仕事の内容に違いはない。

 あえて政治家への規制を外す理由はないはずだが・・・。

【注】指定管理者の指定は、行政処分の一環であって、法律上の契約には当たらないという解釈がなされている。政治家に対する受注規制(地方自治法92条の2等)は、あくまで請負契約に関する規定なので、指定管理者制度で民営化(管理指定)される場合には、この規定は適用されなくなる、というわけである。

 しかし、次のような指摘も無視できないであろう。
 本条の規定は・・・議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保するために地方公共団体の長等の場合と同様、当該地方公共団体との間において、請負関係に立つことを禁止しようとするものであるから、それが民法所定の請負のみならずその他経済的ないし営利的な取引関係に立つこととなれば、当該普通地方公共団体の公正な運営を期待することが困難となるおそれがあるわけであり、それが民法所定の請負関係であると、その他の経済的ないし営利的な取引関係であると、その間に何らの相違はない・・・

松本英昭 『逐条地方自治法 新版第2次改訂版』 学陽書房 2004


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 指定管理者制度を考える 杉並区と千代田区の差は歴然 

  【1】 政治家の「利権拡大」手段に使われるべきではない
  【2】 杉並区と千代田区の差は歴然
  【3】 一般の公務員の副業には厳格 実に厳しい処分が下っている
  【4】 政治家にはなぜ甘い?
  【5】 改めて「指定管理者制度」とは 【このページ】
  【6】 官公需・公共事業に絡んで暗躍する政治家が出現しないよう規制する条例が必要



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