利権屋には千載一遇のチャンスが到来 |
たしかに、これまでも地方自治法92条の2は骨抜きにされてきた。しかし、それでも、これが政治倫理を保持する拠り所(基準)となってきたことは間違いない。
実際に、このルールが存在していたからこそ、議員辞職に追い込まれたケースがあった。司法においても、自治体からの事業収入が、総事業収入の50%を超えているような場合は、議員資格なしと判断せざるを得ないことを示唆し、一定の抑制を働かせてきた。
その意味で、全く無意味なルールというわけではなかった。
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しかし、新たに導入された指定管理者制度の下では、このルールは全く適用されなくなってしまったのである。
今後は、政治家が経営に関与している企業・団体等であっても、堂々と「公の施設」の経営者になることができるようになったのだ。 |
各地の議員とすれば、これほどオイシイ話はない。
政治家とその取り巻きにとって、お役所の仕事や公共事業を獲得する(指定管理者となる)千載一遇のチャンスが到来しているのである。
条例による規制が必要 |
指定管理者制度は、官製市場を広く民間に開放する規制緩和の一環として、導入されたものである。したがって、広範囲の民間人に市場参入の機会が保障されなければならない。
ところが、実際には既成の外郭団体が有利に仕事を確保していたり、政治家に対する受注規制(指定禁止)が意図的に外されてしまうなどの問題も顕在化してきている。
各地で虎視眈々と業務拡大をねらう議員や関係団体が続出しているようだ。
これでは「民間への市場開放」「新しい公共空間の創造」「住民との協働」などと言っても、結局は、行政に強いパイプを持つ利権屋が市場を制圧してしまうだけかもしれない。
官製市場の民間開放は、積極的に推進されるべきだ。しかし、このままでは非常に危ない。制度設計を早期に見直さなければ、トンでもないことになってしまう。しかも、その兆候は、すでに出てきているのである。
杉並区においても、千代田区のように、官公需・公共事業に絡んで暗躍する政治家が出現しないよう規制する条例が必要である。
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