政治家は一定の範囲の公共事業を請け負ってはならない |
地方自治法92条の2によると、議員とその関係法人は、一定の公共事業(お役所の仕事)を請け負ってはならないことになっている。
議員といえども、公務(公の意思決定)に差し障りのある兼業は禁止されており、基本的に勤務先の自治体から仕事(公共事業)を受けてはならないのである。
その有利な立場を考えれば、このような規制は当然だろう。これを撤廃したら、どうなるか。考えただけでも、ぞっとする。
最近、全国で不正な入札・契約に関与した公務員の逮捕が続出している。その渦中には自殺者も出た。政治家や役人の影響力によって、公共事業の発注先が左右されている実態が図らずも明らかになっているところである。
杉並区の指定管理者制度 千代田区との差は歴然 |
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このような中で、区立保育園・民営化第一号の経営者として、現在の杉並区議会議長が、常務理事や保育園長などを務める団体が選定された。 |
私は、我が目を疑った。なぜ、事件続きの中で、誤解を招くような選定をしようとするのか・・・
なぜ、地方自治法が、政治家に対し、勤務先の公共事業を受けることを禁止してきたのか。なぜ、各地の独自条例が、政治家に厳しい倫理規定を課してきたのか。
それは、公共事業の発注に絡む不正を防止するとともに、有権者に不信感を抱かれないようにするためである。
議員は、行政を監視し、チェックする立場にある。このような職責を担う議員が、行政から直接的に公共事業を受注してしまえば、複雑な利害が発生し、議員としての公正な職務を期待することができなくなってしまう。
東京は人口1,200万人を誇る世界有数の大都市である。
やる気のある人材も、実績のある法人も、数多く存在しているのだから、なにもわざわざ「公務の中立性」や「公務の信頼性」に疑問を持たれてまで、政治家の関係法人を指定管理者(経営者)に選ぶ必要はないだろう。
ちなみに、千代田区では、議員とその関係法人は、指定管理者になることができない。条例で規制しているのである。
民営化施設の仕事をしたかったら、議員を辞めなさいと条例で厳密にルール化されているのだ。
杉並区においても、独自の条例を制定し、公務に対する信頼を損なわないようにしなければならないと思うのである。
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