杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2000 11月2 No.74
行政計画(10ヶ年計画)にみる 今後の杉並 (その1)その概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この10年内には、「団塊の世代」が定年を迎えるなど、高齢社会から、超高齢社会への転換を迎えることになります。 今回発表された一連の計画で区財政を健全化させることができるのか、不安が残っていますが、かねて私が要望していた具体的な「財政健全化目標」がはじめて提示されるなど、一定の前進もみられました(そのご努力に感謝し、報告No.83 No.84で取り上げる予定)。以下、論評を交えながら、順に確認していきましょう。
■報告No.75では、同じく(1)(2)のうち以下を取り上げます(分類は堀部による独自のもの)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(0) 計画の概要 計画の優先順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今回発表された行政計画の位置づけは、上の表のとおりですが、基本計画(10ヶ年計画)も、計画前期と後期に分けられています。 計画前期(平成13〜17年度/2001〜2005)は、財政的裏づけを持った実行計画。この時期は、「行財政改革に全力で取り組み、財政再建を果たさなければならない時期」と、計画のなかでは訴えています。なお、その是非や、計画の財政的裏づけについては、今後の決算や予算審議などでも話題にしますが、このコーナーでは、報告No.83 No.84で検証する予定です。 計画後期(平成18〜22年度/2006〜2010)については、目標を定めただけの展望的な計画。平成16年度に、社会経済情勢の変化を踏まえて、財政的な裏づけを持ったものに修正される予定です。 この意味では、実施計画として明確になっている3ヶ年(平成13〜15年度/2001〜2003)の計画については実現性が高いといえますが、それ以降については、「行政計画」と銘打ってはいるものの、まだ「ビジョン」の段階に過ぎないということです。
計画策定に際しては、私も優先順位を明確にするよう主張してきました。その甲斐あって、今回の計画でも、優先順位が多少明らかになりました。 これは「4つの緊急プラン」と「10の重点プラン」という形で提示されたのですが、結局、ほとんどすべての施策が「10の重点プラン」に網羅されてしまいました。この意味では、ハッキリと明確になったとまではいえないのですが・・・ さて、このうち「4つの緊急プラン」は、区財政が厳しいなかでも早急かつ重点的に対応することとなっています。いちおう最重要課題とみていいでしょう。
※ちなみに、2については、高齢化対応や介護保険のサービス基盤整備等であり、子育て支援については含まれていません。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(1) 今後のハコモノ建設・整備/公共事業 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
これまでも、杉並公会堂の改築、東福祉事務所の移転改築等を問題にしてきましたが、いずれも、設計作業や工事が進められてきました。今回の計画でも、杉並公会堂の建設計画などが残されてしまったのは、残念なことです。 もちろん、必要な施設建設は行うべきでしょうが、財政再建が必要な時代に、日々の区民生活に直結しないハコモノ建設や、それほど利用率が高いとはいえない公共施設の改築を行うことには賛成できません。 なかには既存施設を有効活用するなど、適切な対応が行われているものもありますが、各年の予算編成にあたっては、さらに厳しく精査していくべきです。
※このほか、学校や保育園・児童館・敬老会館の改築・改修などが随時計画されています。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) 今後制定される5つの新条例 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今回の計画の中で、区は新しく5つの条例をつくる方針を打ち出しました。いずれの条例も、平成13〜14年度中に制定する方針。現在の区に不足している条例ばかりでもあり、制定には私も大いに賛同します。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) 開かれた行政 と 電子区役所の実現 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
すでにお伝えしているように、区の情報公開条例は、ようやく改正される見通しとなってきました。残念ながら、すぐには電子対応できる段階にはありませんが、今回の計画のなかで、はじめて「電子区役所」の実現に向けた取り組みが具体化され、要望してきた点についても、大筋で計画化されました。 ただ、その一方で、外部監査制度やオンブズマン制度などについては、計画に盛り込まれることはなく、課題は残ったままです。区長は、過去に外部監査制度の必要性を認めていましたので、まだまだ期待を失いたくはありませんが・・・ また、区長は、ときに住民投票制度についても、前向きな発言をしてきましたが、この点についても、計画に反映されることはありませんでした。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4)今後の地域のまちづくり とくに産業振興や都市計画について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
杉並といえば、高齢化が進む住宅都市。区の歳入が住民税中心であることから、生産年齢人口の減少には、危機感をもたざるを得ません。そこで、区は「21世紀ビジョン」のなかで、地域環境と共生できる産業の育成を謳い、新しい産業の育成に取り組むことを明確にしました。 たとえば、区内にはアニメ産業が一定程度集積しているという話があります。現在、区は「新産業実態調査」を実施し、その結果待ちの状況にありますが、今後、この結果を踏まえて、産業振興計画を策定することが、今回の行政計画のなかで打ち出されました。もっとも、お隣の三鷹市などでは、すでに何年も前から、とっくにこうした検討が進んでいます。今後は、自治体間競争の時代でもあり、杉並も負けていられませんが・・・ さて、今回、阿佐ヶ谷と浜田山を結ぶ南北バス(コミュニティ・バス)が開通。すでに赤字含みという予想もしていますが、今回の計画で、さらに区営バスを2路線増やすことが明確になりました。これも、今後の収支を見極めながら、冷静な判断が必要すべきだと思います。 また、国の補助金が切れたあとの放置自転車対策や、防災都市づくり・まちづくり基本方針・住宅マスタープラン・用途地域等の見直しにあたっては、区民の参加・協力が不可欠ですが、平成13年〜14年度に検討作業が集中しています。
|
ご意見、ご感想はこちらまで |