杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2000 7月C No.60
杉並病 東京都の損害賠償提案を検討すると |
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7月25日、東京都環境局は、突然、杉並区に内容を打診することもなく、いきなり「杉並病」騒ぎをめぐる損害賠償提案を行いました。これを受けて、さっそく翌日開かれた区議会の特別委員会の場でも、この話題が取り上げられました。
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突然の発表 区も知らなかった賠償内容 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
都の調査委員会の見解(3月末の調査報告)によれば、この地で問題になっている健康不調の原因は、杉並中継所の排水から流れ出た硫化水素ということになっており、区立井草森公園で散布されたクレオソートにも原因があるかもしれないというものでした。また、現在では、もう適切に措置されており、杉並中継所の操業は全く問題ないという結論になってもいました。 もちろん、調査の不十分さや調査データの破棄といった経緯からみて、中継所から出される排気に全く問題がないと断定してしまうのには少々疑問が残るのは、すでに過去に指摘したとおりです(週間報告4月第1週、4月第3週へ) まず、驚いたのは、今回の都の賠償提案は、区に対し具体的な事前調整が行われたわけではなく、東京都の一方的な決定だったということでした。都の調査委員会の結論でいけば、都だけでなく、区にも責任がある可能性があったわけですが、とにかく都は自分たちの出した結論に沿って、補償内容を決めてしまったわけです。 このため、区の理事者からも、東京都の方で決めたことなので、区としては何とも言えない・・・という趣旨の発言が飛び出てきました。 |
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個人補償ですべてが解決するわけではない | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ちなみに、この問題、国の公害等調整委員会では、まだ結論が出されていない段階にあります。その意味では、この問題は、まだ終結宣言を出すことのできる段階ではなく、多くの疑問が残されたままになっているわけです。実際に、3月末に発表された都の調査委員会の報告については、メディアも、これを疑問視するような報道をしていますが、補償さえすれば、それで解決という段階には、至っていないのです。 すでに週間報告6月第3週・第4週で主張したように、中継所をなくすために必要なことを進めていくことが重要であり、地域全体の安全性を確保することを優先すべきだと考えています。一人30万円出せば解決だといわんばかりの提案に、被害者のみなさん方も、まだ「とても乗れる話ではない」といった受け止め方をされている方がいます。今回の都の提案内容は、あくまで都の調査結果・結論の押しつけになっているとの感は拭い切れず、「被害の全容や原因など分からないことばかりなのに、硫化水素で幕引きをしようとする都の姿勢には、公害問題に対する謙虚さが足りない」(太田哲二区議の指摘@東京新聞7/26)という指摘は、もっともかと思います。 真の解決とは、提起されている疑念を解くことにあって、たまたま症状が出た方に補償を行うことではないはずです。香川の豊島産廃の場合も、住民は補償を放棄し、それよりむしろ産業廃棄物の撤去と風評被害の防止を優先させました。杉並の場合も、多くの住民は、個人的にお金がほしいわけではないはずです。このような問題が話題になった以上、杉並中継所が存在し続ける限り、風評被害は止まないことでしょう。都にはくれぐれも個人賠償をしたのだから、中継所は未来永劫、今のままで運営してもよいのだ・・・というような開き直った態度を取らないようにお願いしたいと思っています(なお、過去に指摘したとおり、この先20年間、杉並中継所を廃止するには、東京都の承認が必要になっています)。 とくに、これまでの東京都によるデータ隠しやデータ破棄行為などを踏まえても、都(当事者)の下で出された調査結果や結論を鵜呑みにできる段階にはありません(その理由については、4月第1週・第3週報告へ)。国の公害等調整委員会の結論を待って、今後は賢明な判断をしていただきたいと思っています。
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