【争点ダイジェスト】堀部やすしの見解2019 【争点ダイジェスト】堀部やすしの見解2019
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 お問い合わせを受けることの多い「杉並区政の争点」について見解をまとめました。2019年3月現在における判断です。

 ①杉並区政に対する基本姿勢/②区立施設の再編・杉並区のハコモノ建設/③杉並区の都市計画・まちづくり/④2020年「五輪後」の課題認識/⑤行財政改革に対する政治姿勢/⑥保育・学童保育「待機児童」問題/⑦杉並区の地方創生政策「特養」建設を端緒とする静岡県南伊豆町との関係/⑧政治資金問題/⑨2022年杉並区長選挙


【杉並区政に対する基本姿勢】

 地方自治体は「首長」と「議会の構成員」をそれぞれ別の選挙で選ぶ「二元代表制」であり、「杉並区長」と「杉並区議会」は対等の関係です。親分・子分の関係ではありません。

 したがって、寄らば大樹の陰とばかりに、田中区長の方針に右へならえとなるのではなく、チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)を働かせるべく職務遂行することとしています。

 議案などに対する賛否は、政策本位で対応することを旨としており、「なんでも賛成」ということもなければ、「なんでも反対」ということもありません(議案に対する賛否は、杉並区議会公式ページにおいて議員別に公開されています)。


【区立施設の再編整備/杉並区のハコモノ建設】

 現区政のハコモノ再編・建設計画は「現実的なプラン」への転換を主張します。その問題意識は、過去に
【迫り来る老朽化】杉並区の減価償却率(資産老朽化比率)/将来の「金利上昇」を想定した堅実な財政運営が必要

2020年以降の財政を考える
 などでも述べたとおりです。これは極めて重要な問題です。

 東京五輪(1964年)前後の時代に、集中的に社会資本を整備したのが東京です。それから55年。当然ながら、公共施設もインフラも老朽化が進んでいます。

 当時は、右肩上がりの高度成長時代でしたが、超高齢社会を迎えた今、杉並区民の担税力は当時と異なることに注意が必要です。

 建設関連コストも上昇しています。これからは既存施設の長寿命化を図るとともに、地域資源を有効活用するなど、何事も実態と懸け離れのない「身の丈」で取り組まなければなりません。

 しかし、杉並区は、あんさんぶる荻窪(荻窪5丁目複合施設)を築14年で手放したほか、旧永福南小学校(教室棟)を築29年で解体したうえ、さらに現在検討されている区立富士見丘中学校の改築においても、築30年程度にすぎない新館を含めて全て解体したうえで建て替える方針を打ち出しています。

 今後、築60年を超える校舎を多数抱えることが確実である杉並区において、到底妥当な判断とは言えません。区立施設は「長寿命化」「多機能化」「複合化」により、将来世代の財政負担への配慮が不可欠です。

 かつて区は、民間でも整備提供可能なレセプションホール・宴会場を(自前で)整備・建設しようとしていたことがありましたが、このような不合理な判断にも強く異議を申し立てていきます。

 かつて鳴り物入りで「エコスクール」を導入したにもかかわらず、実際にはむしろ電気代が増える結果を生み出したことを忘れてはなりません(安易に施設規模を拡大したことが原因です)。なぜ、区立施設を再編する必要があるのか、その趣旨や目的を改めてよく問い直さなければなりません。

 将来の維持管理コストを考慮することなく、安易に施設規模を拡大したり、安易に短命化を進めてしまえば、そのツケに悩まされるのは、私たちの子や孫の世代なのです。


【杉並区の都市計画・まちづくり】

 杉並区の魅力を高めるには「都心にはない うるおいのある生活環境」と「郊外にはない利便性」のバランスを保ちながら、都心に通いやすい立地(都心から適度な距離にある立地)を踏まえた現実的なまちづくりを進めることが必要と考えています。

 都心とは異なる環境に置かれた杉並区においては、バブル期のような大型再開発の手法に現実味はなく「身の丈に合った現実的なまちづくり」が必要というべきです。

 例えば、荻窪駅前再開発は、田中良杉並区長の選挙公約(2010年杉並区長選)でした。

 田中区長は、当選後も「杉並の『顔』としてのまちづくり」をしたいと述べ、新たな商業施設(ホテル、宴会場、レセプションホール、映画館など)の誘致を語っていました。

 しかし、荻窪に映画館を誘致したいといった発想は、古い「昭和」の発想というべきです。このようなバブル時代を思い起こさせるような時代錯誤の荻窪駅前再開発の構想(平成22年以降の田中区長の発言・公約)は支持できません。

 その後、阿佐ヶ谷駅北東地区において「河北総合病院の移転改築」が明らかとなったことにより、阿佐谷においても、新たなまちづくり計画が策定されました。土地区画整理事業については、杉並区も施行者の立場にあります。

 当該計画は、その中核となる「病院建替えの全体像」が明らかとなっていない現状で評価することはできませんが、河北総合病院の移転改築にあわせて地区計画の導入、用途地域の変更、容積率の緩和など優遇を図るというのであれば、特に当該病院には緑被率の維持向上のほか、区民ニーズの高い病児保育室の設置など、これまでにない「地域貢献の姿勢」を明確にしていただかなければならないというべきです。

 うるおいのある「魅力的な住宅都市」としての価値を高めていくためには、建物の「絶対高さ制限」を導入するとともに、住宅地における敷地面積の最低限度を強化(極端な細分化を防止)するなど、好感度の高い住宅都市として住環境を改善していくことが必要と考えています。


【2020年「五輪後」の課題認識】

 オリンピック・パラリンピック開催後の2022年には「団塊の世代」が75歳を迎えます。

 最初の正念場は2025年です。「子育て」と「親の介護」を同時に抱える世帯は、これまで以上に増えます。保育難民/保育離職、介護難民/介護離職は、社会の活力を奪いかねません。

 今後は、ばらまき型ではなく、相対的貧困や窮状が指摘される世帯などに重点を置いた「メリハリのある施策展開」へと転換を図ることが不可欠です。限りある財源や人員等を有効に活用するためにも、その財政運営を厳しくチェックし是正を求めていきます。

 社会の変化に伴い、すでに構造的な人手不足・ミスマッチが深刻になりつつあります。老若男女すべての区民の皆さんの社会活動を促進するとともに、子ども・子育て支援新制度に基づく教育・保育等の量的拡充/質の改善を図ることを最優先課題と位置づけなければなりません。

 若年層や働き盛りの世代に魅力的な都市でなければ、高齢者にも障害者にもやさしい都市を実現することはできません。地域社会の維持発展は、それを支える「担い手」や「納税者」の存在があって、はじめて実現できるものです。


【行財政改革に対する政治姿勢】

 少子高齢化に伴い地域社会が変化している中では、公務員のみが公務を担う区直営一辺倒の行政も、民営化一辺倒に頼る行政も、それぞれ時代遅れです。「政府の失敗」「市場の失敗」それぞれを直視したうえで、双方を踏まえたハイブリッド型の地域経営をめざす必要があります。

 自治体には、専門的ながらも定型的な業務(確認・点検など繁雑な事務作業)が数多く存在しています。従来このような業務は民間委託により対応されてきましたが、今後はICT活用の高度化(RPA/AIの活用)により対応し、人間は「対人コミュニケーションが不可欠な業務」などに専念することが不可欠です。これにより区民福祉の向上をめざすことができると考えています。

 しかし、その実現には、自治体の業務プロセス・システムの標準化が必要であるとともに、区経営陣が社会の変化を的確に把握したうえで、折々の対応を判断していく必要があります。

 これはICT活用の高度化だけでなく、全ての行政手続の電子化(自宅にいながら多くの行政手続を可能とする改革)を進めるうえでも不可欠で、まさに官民の協力の下、ハイブリッド型で取り組んでいかなければ実現できないことです。

 単なる民営化万能論も、民営化なんでも反対論も、もはや時代遅れの主張というべきです。官民双方が応分の責任とリスクを担いながら、社会を維持していくほかに道はありません。テクノロジーを上手に使いこなす「新時代の行財政改革」を通じて、将来世代の財政負担に配慮した堅実な財政運営を進めていくことが必要と考えています。

 この問題については、議会においても、ICT活用推進検討委員会を立ち上げ、これまで積極的に検討を進めてきました。地方議会で初となる LINE WORKS の導入・運用を皮切りとして、さらに取り組みを加速させているところです。

 なお、現在の延長で、どこかに永続的な「打ち出の小槌」があるかのように考えている主張を見聞きすることがありますが、全く同意できないことです。財源が有限であることを踏まえないばらまきは、増税一辺倒につながりかねず、「将来世代の財政負担」を無視しています。高齢化に伴う担税力の低下が否めない現状では、増税一辺倒で課題を解決することはできません。


【保育・学童保育「待機児童」問題】

 2年連続で「待機児童ゼロ」と発表している杉並区ですが、ここにはカラクリがあります。

 例えば、とりあえず認可外の施設に入ると、実態はどうあれ、待機児童としてカウントされていません。入所を希望していたものの、通勤通所に伴う保育条件が合わず、やむなく育休延長を余儀なくされた場合なども、待機児童とはカウントされていません。

 実際の認可保育所等入所内定率はまだ8割以下です(それでも10年前の約2倍に上昇)。

 待機児童問題は、まだ終わった問題ではありません。すでに述べたように、社会の変化を踏まえて教育・保育の量的拡充と質の改善を図ることは、区政の最優先課題に位置づけなければならない状況にあります(このため、現時点で保育を全員一律に無償化することには反対しています)。

 認可外の保育施設(地方単独事業)は、原則として国庫補助が受けられず、その維持に必要な区の財政負担(区民の負担)は、それだけ大きくなっているのが現実です。地方単独事業の認可外保育施設を増やしても、課題が解決するわけではないことに注意が必要です。

 学童保育についても、深刻な待機児童問題があります。

 杉並区の「学童クラブ待機児童数」は、84人(2016年度)→199人(2017年度)→255人(2018年度)。ゼロの実現にはほど遠い状態となっています。ばらまきの前にやるべきことがあるのは、ここでも同じです。

 最大の課題は、場所の確保です。数年前に区立公園を潰して認可保育園を各地に大増設しましたが、都市公園法16条を踏まえれば、同じ手法は何度も使えません。各地域ごとにスペースの有無を踏まえつつ、施設再編などを通してニーズに対応していかなければなりません。

 各児童館の今後は、児童・生徒の居場所づくりに配慮したうえで、そのあり方をケースバイケースで検討していく必要があります。施設の全廃も強引で論外ですが、さりとて区立施設の老朽化に伴う改築・改修経費が今後増大していく厳しい財政見通しを考えると、現状のまま全ての施設を維持することもまた不可能というべきです。施設の多機能化・複合化を進める中で、その機能を維持していく道を検討することが不可欠と考えています。


【杉並区の地方創生政策「特養」建設を端緒とする静岡県南伊豆町との関係】

 2015年6月に退職した杉並区の元副区長M氏は、その半年後に「南伊豆町政策アドバイザー」の職に就き、町から月額報酬を受けています。

 人口8,000人で「過疎地域」指定を受けている町において、なぜ元副区長は、月額報酬を受ける職を得ることができたのでしょうか。

 現地で特養を建設する前にタイムリーに天下った元副区長は、現在、区も利害関係者となっているCCRCの助言を行っているとのことです。特養に続いて、現地にある区有地(杉並区立南伊豆健康学園跡地)に「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を建設する計画が進められているです。

 東京都知事選(落選)直後に「杉並区顧問」に就任した増田寛也氏とともに、地方創生との名目で事業を進めているわけです。

 しかし、現地は、津波浸水域であることを理由に、特養の整備を回避した場所です。サ高住もまた要支援から要介護の高齢者が生活する場になるという意味では同様の課題があることから、高齢者の住まいとすることには慎重さが求められます。

 杉並区が多額の建設補助を行い、片道交通4時間の遠方に整備した特別養護老人ホーム「エクレシア南伊豆」の開設から1年となります。当該施設は、開設当時から特例入所者が少なくありませんでした。開設時に区から入所した17名のうちの5名が、本来であれば特養に入所できない軽度者である「特例入所者」となっていました。

 法改正の影響もあり、要介護3以上であれば、静岡県の南端まで4時間以上かけて行かなくとも、首都圏で入居先自体を確保することは、現時点において不可能ではありません。むしろ、いま最大の問題は「介護従事者の定着確保」にあるというべきなのです。

 過疎指定を受け、中長期的に人口減少傾向が続いている地域で、本当に介護従事者の確保定着が持続可能といえるものでしょうか。増田寛也氏が推進している独特の地方創生論に踊らされ、無謀な投資をすることのないよう注意が必要です。


【政治資金問題】

 杉並区は、入札契約「臨時的措置(臨時的緊急措置)」を11年にわたって毎年設けており、本則(競争入札実施要綱)のルールどおりに入札を実施していません。

 リーマンショック時の「特例」を未だに継続しており、本来あるべき入札制度を骨抜きにしているのです。

 その結果、入札・契約・業者指定の条件が恣意的であったり、アンフェアな案件が確認されており、議会でも個別具体的に話題にしてきました。

 現区長が就任後、最初に行った新たな指定管理者の指定(業者指定)も、区長の有力後援者が経営する会社でした。無競争での選定には、たいへん驚かされたものです。

 このようなテーマの改革は、政治資金パーティーを通じて(補助・委託・指定先の)利害関係者から資金集めをしている現区長には全く期待できないことがよくわかりました。

 日本の政治家に一定の給与報酬が支払われているのは、政官業の不適切な癒着を防止する趣旨が込められていることを強く自覚しなければなりません。

 一貫して無所属・無政党で活動してきた堀部やすしは、一身独立した立場から、フェアで開かれた改革を推進していくとともに、不合理な案件については今後も厳しく追及していきます。


【2022年杉並区長選挙】

 田中良区長(元民主党都議)は、現在区長3期目になります。

 日本の地方自治制度は、大統領制/二元代表制を採用していることから「誰を首長にするか」は有権者の判断によりますが、現区長の続投については全く支持することができません。

 2018年の杉並区長選に先だっては、候補者の擁立に向けて東奔西走しました。現職区長を前に新人候補の乱立・対立は好ましくないとの判断から、最終的には候補者の集約を図るため慎重に対応しましたが、残念ながら、その効果は全くなかったというほかありません。

 田中良区長は、就任直後いきなり自らの多選自粛条例を廃止させたため、長期政権を狙っていることを内外に強く印象づけています。次の立候補も十分に可能性があるでしょう。

 しかし、区長は、自治体としての統括代表権、予算編成権、人事権、規則制定権、契約事務権限など個別具体的な執行権をひとり集中的に有する絶大な権力者であり、その権限の大きさは、議員とは比べものにならないものがあります。

 2022年の杉並区長選は、積極的に候補者擁立を図ることを通して「区長交代」をめざします。

堀部やすしは、増税一辺倒となる前に、必要な合理化・活性化を推進し、現区政に対する牽制役を果たします。
杉並区政の「納得度」を向上させ、転落した評価の回復を/杉並区議会議員(無所属)堀部やすし
堀部やすしは、当選5回すべて無所属・無政党。一党一派に偏らない姿勢だからこそ、誰にも媚びることなく、改革に邁進できます。

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