●本会議(議事録)●


補正予算(第1号)にモノ申す!

~1999年夏 本会議 意見開陳より~

  議員として、案件を厳しくチェックし、疑問点を指摘しておくという意味から行った本会議の発言です。
 杉並新聞にも取り上げていただいた発言ですが、内外から内容について意外にも多くの反響がありました。



概要
 ①前の区長の方針とどこが違うのか?
 ②公約の財政再建はどこに行ったのか?~新聞にまで皮肉を書かれる
 ③優先順位づけや予算額も問題
 ④相変わらずの「ハード優先」「ハコモノ優先」は疑問



 掲載にあたっては、読み易さを考えて、見出しや注釈をつけておきました。
それらについては、
青文字(見出し)緑文字(注釈)にしてありますので、ご留意ください。






   補正予算にモノ申す!



 私のほうからは、議案第42号・平成11年度杉並区一般会計補正予算(第1号)につきまして、反対を表明し、意見を申し上げます。もはや総務財政委員会では、圧倒的多数でこれを可決しておりますので、多勢に無勢ではありますけれども、5~6分お話をさせていただきたいと思います(といいつつ、10分も話してしまいました(^^ゞ


①前の区長の方針とどこが違うのか?


 なによりも、この補正予算は、かつての山田カラーが見えてこないという問題があります(区長は、元代議士の山田宏さんです)。区長は、この補正予算の山田カラーは何かとの質問に対し、「21世紀ビジョン」やホームページに予算をつけたこと、また財政再建を意識し、必要になところに予算をつけたことを挙げられていらっしゃいました。これが総務財政委員会における区長の数少ない、本当に貴重なご答弁でありました。

 たしかに、今回の補正は、それぞれ必要な予算ではありましょう。しかし、正直申しまして、この補正予算を見て、いったい本橋区政とどこが変わったのか、ほとんどわからないというのが正直なところであります。そもそも区長は、選挙前に「杉並の暮らしの格付けは最下位だ」と断言していたものが、今ではそれが急に「杉並区は都内でも有数の住みよい地域だ」と豹変してしまったように、区長の所信や答弁の姿勢は、他の自治体のトップと比べても、とてもではありませんがNO.1とは言えず、また、ホームページの開設も、すでに本橋区政時代にまとめられた「地域情報化計画」にうたわれていることで、山田カラーでもなんでもないものであります。そのうえで、重視されていた財政再建への道はさらに遠のいてしまっているわけです。あれだけ本橋区政を痛烈に批判して当選された区長が、どうしてこのような補正予算を組むことができるのか、理解に苦しむところであります。


②公約の財政再建はどこに行ったのか? ~新聞にまで皮肉を書かれる

 もちろん、行政には継続性という重要な考え方もあります。外部から見ているときと、行政の執行者となったときとでは、自ずと方針も変わってまいりましょう。私は、なにも、それをやみくもに否定するものではありませんけれども、ただし、方針が変わったなら、変わったで、明確に「根拠」を挙げて、それをわかるように説明すべきであります。ご自身はしっかりとした根拠も示さず、答弁はもっぱら役人任せで、その場しのぎをしようとするのは、姑息ですらあります。そんなことをやっているから、『都政新報』にも「早くも方向転換」「役人に飲まれてしまっている」などと書かれてしまうのであります(都政新報・6月18日号の記述)

 最も大きな問題は、減税補てん債についてであります。自民党会派の代表質問に対する答弁で、区長は、努力して歳出を削減したとしても、今回は、減税補てん債を発行せざるを得ない状況だという趣旨の発言をされていらしゃいます。しかし、いったい、その根拠は何なのか、ついに区長の口からは明確に語らずじまいでありました。区長は説明責任を果たしておりません。選挙のときには、本橋区政時代の減税補てん債による財政赤字の拡大を過激に批判していたにもかかわらず、当選してしまえば、それと全く同じことをしていらっしゃるわけです。しかも、今回の減税補てん債の発行額や約16億円。給料の一部400万円程度を区に返上したぐらいで、到底これは相殺される額ではないのであります。このどこが、財政再建を意識した予算なのでありましょうか。ご自身の発言の重みを振り返り、辻褄の合わない、矛盾した答弁を恥じるべきであります。考え方を変えたのであれば、変えたとハッキリとその理由と根拠を示さなければ、納得できるわけがありません。


 
③優先順位づけや予算額も問題
(形式優先の姿勢、ホームページの開設、防災対策、介護保険への取り組み、庁舎管理のあり方など)

 もとより、私は何でも反対、という主張をするつもりはありません。課題が山積しているなかで、予算をつけた箇所は、そう大きく間違ってはいないとも思います。しかし、その優先順位や予算額に大きな疑問があること、そして財政再建の姿勢が口先だけであることを私は問題視しているわけです。

 たとえば、行政がホームページを作るのは、もはや時代の要請といえますけれども、区では、それにわざわざ多くの予算をかけて、午前0時に自動的に内容を更新するようなものにする、ということであります。そこでは区の発行している「わたしの便利帳」に出ているような情報を中心に提供していくというお話ですけれども、その程度の情報提供に、なぜ多くの予算を組む必要があるのでしょうか。

 私の知っております、とある一部上場企業でも、ホームページは、文科系出身の内部の社員が、たった一人で作っているというところがありますが、それでも充分に管理することができ、頻繁に更新もしており、情報も満載であります。そこは一日5000人からのアクセスがある、というように、大企業でも、それで充分見るに足るものを作ることができているわけであります。

 幸い、いまやホームページは、それほどコンピュータに精通していない者であっても、容易に作ることができる時代になりました。すでに区政を題材として、区の職員の有志が作っているホームページもありますけれども、彼らに少しの予算と少しの時間、そして多くの情報を与えれば、それは区の公式ページとして、じゅうぶんに使えそうなくらいであります。有意義なアウトソーシングならば私も賛同いたしますが、現在はただでさえ、区の事務職員数は多いわけで、職員の人数が多いうちは、内部の職員をもっと活用すべきではないでしょうか。区長が本当に財政再建に配慮したというならば、このようなものに多くの予算をつける必要はないはずであります。


 また、防災対策費も問題であります。たしかに、学校教職員に防災服を貸与するというのは、大切なことでありましょう。しかし、2000年問題への対策が遅れているときに、それが防災対策費として、最優先して補正すべき内容なのでありましょうか。

 たとえば、区は、災害・環境問題対策特別委員会の場で、2000年問題をめぐっては、その前後で、何が起こるのかはわからないうえに、行政が用意している備蓄だけでは、どうやら充分とは言えない可能性があるので、あとは各家庭で備蓄していただくしかない、というような趣旨の答弁を私にしておりますけれども、それでは、経済的に備蓄がままならない真の社会的弱者は、いったい、どうしろというのでありましょうか。そうした方々にも自助努力を求めるというのであれば、予算をとる必要はないかもしれませんが、それでよいとお考えになってのご判断なのか、改めて不安であります。

 もっとも、アメリカなどは、厳しい自立・自助の国でありますから、2000年問題のためには1ドルも出さないという州もなかにはあります。ただ、その代わり、行政は法の整備や、また正確な情報を提供するために、早くから相当努力をしてきているわけです。ところが、この区の場合は、予算を計上しないのはそれはそれで結構ですが、実際には対策が大きく遅れているわけです。しかも、対策が遅れている理由を問いただしても説明しない、正確な情報提供もまるでしていない。というわけで、全くお話にならないわけであります。

 災害・環境問題対策特別委員会が開かれましたのは、すでに総務財政委員会で、この補正予算が可決された後でしたので、私は、この2000年問題について広報の徹底を要望するにとどめましたけれども、なにも事件が起こらないことをただただ祈るばかりであります。


④相変わらずの「ハード優先」「ハコモノ優先」は疑問


 最後に、この補正予算は、相変わらず、ハコモノ、つまりハードを優先する方針が続いている点が問題であります。庁舎管理ということで計上される電波障害対策経費のあり方には疑問がありますし、また、宮前に予定されている高齢者在宅サービスセンターも、施設だけは豪華なものになりそうであります。もちろん、施設も大切なことでありますけれども、しかし、その一方で、たとえば、今回で言えば、区は介護認定審査会の委員への報酬を財政難を理由に低額なものに抑えようとしているわけですが、これでは正確な介護認定を行うことができるのかどうか、また特に医療分野で優秀な担い手を確保することができるのかどうか、非常に不安であります。真に大切なものは何かを忘れた予算のつけ方であるといわざるを得ません。


 以上の理由により、私は、議案第42号・平成11年度杉並区一般会計補正予算(第1号)に反対させていただきます。最後になりますが、この議案は、ほぼ間違いなく可決されるわけですけれども、ただ予算はすべて使い切る必要はないはずであります。山田区長が財政再建を念頭においているというのであれば、ぜひ、予算の賢明な執行に努めていただきたいと思います。



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