●本会議(議事録)●


2000年問題」について(その1)


1999年夏


 堀部やすし コンピュータ・システムが誤作動を起こす2000年問題のとりくみはどうなっているのか。政府は2000年問題について、区にも6月をめどに危機管理計画策定を急ぐように言っているが対策は。

 区政情報室長 プログラムの修正は、現在90%終了し、残りは10月までに計画を策定する予定で、現時点ではまだ危機管理の対策本部はない。



 ここから議事録です


 今回初当選をさせていただきました堀部やすしでございます。私は、第一に、いわゆる「2000年問題」について、第二に、ペットをめぐる社会問題について、お尋ねいたします。

 第一は、いわゆる「2000年問題」についてです。


 2000年問題とは?

 私は、この質問に先立ちまして、先日、私の自宅にありますビデオをチェックをしてみました。時間設定を変えまして、いろいろと実験してみたわけですけども、やはり、2000年以降はまるで予約ができないということが判明いたしました。どこのメーカーのものかは伏せておきますけれども、これはきちんと品質が保障されております、とある有名メーカー製のものであります。最近では、品質保証といったものが、ずいぶん華やかになっておりますけれども、本当にいい加減なものだな、と思いも新たにしている次第であります。

 ちなみに、このビデオは、1994年に購入したものであります。わずか5年前の電化製品ですらも、2000年に対応していないものがあるということが、私の自宅の中でも確認されたわけです。

 こうした「西暦2000年問題」は、すでに全世界で問題となっております。西暦を下2ケタで判別するコンピュータ・システムが、西暦2000年を示す 下2ケタ「00」を1900年と勘違いしてしまう結果、システムが停止したり、誤作動を起こすという問題であります。


 2000年問題の恐ろしさ

 コンピュータ・システムは、いまや、社会のあらゆる場面で使用されています。しかも、それらは衛星や地上の通信回線によって地球的規模で結ばれております。「2000年問題」の厄介なところは、かりに自分のところが万全の準備をしていくことができたとしても、それだけでは全く安心できないという点にあります。人類は、効率性・利便性ばかりを追求するあまり、とんでもない爆弾を抱えてしまっているわけです。

 昨年10月28日、NTT関西で回線事故が発生いたしました。これは「2000年問題」が原因というわけではありませんでしたけれども、たった一つの中継装置の電圧の不安定によって、航空ダイヤがストップ、銀行のオンラインもストップ、はたまた110番や119番でさえもストップし、関西は一時マヒ状態に陥っております。そして、その影響は関西だけではなく、遠く離れた埼玉県所沢市の航空管制システムにまで及んでおります。ネットワークの恐ろしさを実感する事件であったと思います。システムが効率化されて便利になった分が、そのまま全部危険にさらされているわけであります。

 「2000年問題」も、これと全く同じ問題を抱えることになります。つまり、この問題は、杉並区のシステムさえ対応できたら、それで満足という問題ではなく、世界のどこかで障害が発生すれば、それがたちどころに、この杉並にも影響を及ぼす可能性があるわけです。資源・エネルギー・食糧を海外に完全に頼りきっている日本にとって、この問題の持つ意味は、格別に大きいものがあることを認識しておく必要があると思います。

 この「2000年問題」、すでに起こっている事件としては、今年104歳になる方を対象に、4歳と判断してしまって幼稚園の入園案内を届けてしまった、というような微笑ましい話もありますけれども、その一方で、2000年まで使えるクレジットカードで買い物をしようとしたところ、スーパーのレジが壊れてしまった、という話もあります。ちなみに、このレジを作っている企業は、その後訴えられるところとなり、賠償金を支払わされております。
 また、イギリスでは、刑務所で受刑者の釈放日を間違え、うっかり釈放してしまったという事例も報告されておりますし、スウェーデンでは、「2000年問題」の模擬テスト中に、原子力発電所で支障が発覚したという事例も報告されております。さらに、東京証券取引所や、スーツケース・メーカーのサムソナイト社が、2000年対応を済ませたと言っていたにもかかわらず、プログラム・ミスでシステムをダウンさせたりもしております。こうした事例は枚挙にいとまがありません。


 行政の取り組みにモノ申す!

 こうした状況に対応するために、この4月、日銀は40兆円の紙幣を準備し、混乱に備えるというふうに発表しております。これは40億円ではなく、40兆円です。40兆円といえば、一年間の国税収入に相当する非常に大きな規模であります。事態は相当ひどい状況にあり、全く予断を許さない状況にあるわけです。昨日の報道でも、香港では、この年末、銀行・百貨店などが万一に備えて営業停止措置をとる予定であると伝えています。

 ところが、残念ながら、日本では、この「2000年問題」は、まだ、あまり真剣に受け止められてはいない状況にあります。情報公開が遅れ、正確な情報提供が進んでいないために、丸腰のまま2000年を迎えつつあるともいえます。

 政府も、不明確な周辺事態にむけての対策や組織犯罪対策には、過剰なくらい真剣に取り組もうとしている反面、期日のハッキリしている2000年対策という有事対策には、ほとんど対策がとられることもなく、また住民への情報提供も、ほとんどない状況にあります。自治体にしても、2000年、といえば、介護保険と都区制度改革の話ばかりで、コンピュータから派生的に起こる、この「2000年問題」は、ほとんど無視されてきました。とんでもないことであります。

 この「2000年問題」を放置すれば、各方面で混乱を起こすことは確実であり、また、これに真剣に取り組まなければ、市民生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。私は、意識ある区民を代表いたしまして、杉並区においても、万全の対応を求める次第であります。


(質問1 2000年問題についての区の認識は?)
 そこで、西暦2000年まで、本日現在・残り198日と迫っておりますけれども、この「2000年問題」について、まず、区は、どのように把握し、どのような認識を持って取り組んでいるのか、お尋ねいたします。また、このための予算措置は、いったい、どうなっているのか、あわせてお答えください。


(質問2 区の取り組み状況は?)
 過去の会議録によれば、この杉並区では、この3月をメドにプログラムの修正作業を進めているというお話でした。さて、この修正作業は本当に終了しているのかどうか、また、終了していないとすれば、いかなる理由で終了していないのか、さらに、いつ終了する予定であるのか、お答えください。それから、区の外郭団体の取り組み状況についても、同様にお答えいただければと思います。


(質問3 問題が発生する可能性のある日をいつと想定しているのか?)
 もちろん、この「2000年問題」は、なにも2000年1月1日だけに起こる問題ではありません。一説には、いわゆる「2000年問題」のうち、2000年の1月1日に発生する問題は、全体のたった8%だとする専門家の話もあります。すでに関連する問題は起こっておりますし、また今後も起こる可能性があります。

 そこで、この「2000年問題」に絡みまして、たとえば、金融機関などでは、問題が集中して発生する可能性のある日を特定いたしまして、対策を進めているわけですけれども、当然、杉並区でも、同じように対応されていらっしゃるかと思います。そこで、2000年1月1日以外に、今年から来年にかけて、いったい何月何日を想定して対策を進めてきたのか、明確にすべてお答えください。


(質問4 埋め込みシステムまでチェックしているのか?)
 さて、過去のプログラムを洗い出し、修正していくという作業は、たいへん膨大であり、そのご苦労は並大抵のものではないとお察しいたしします。さぞや、日々ご苦労なさっていることだろうとは思いますけれども、しかし、最も大きな問題は、制御系システムが誤作動を起こす問題であります。とくに病院では深刻な問題になるわけですけれども、それだけではなく、区内のビル設備やエレベーター、信号機、防犯システム、上下水道、清掃工場などにも、広範に影響が出る可能性があります。これは、区の手に負えない範囲の問題を含むわけですけれども、それでも、これによって区内で発生する災害対策は、区に大きな責任が生じてまいります。

 このように、「2000年問題」で、何よりも厄介なのものは、この部分の問題、つまり、埋め込みシステムの問題であります。マイクロチップは、工場や発電所、船舶や飛行機や電車、銀行や電話局、人工呼吸器や未熟児の保育器といった、こうした医療用機器などなど、われわれの身の回りのいたるところで使われておりますけれども、そのうち、一定のパーセントのものは、2ケタの日付プログラムをもっており、それらは2000年が来ると正常に機能しなくなることがわかっています。ちなみに、こうした2000年対策の対象となる制御システムやマイクロチップは、庁内にどのくらいあるのか、きちんと把握していらっしゃるのでしょうか。把握していないとすれば、今後どのように対応していくのか、お答えください。


 
区の危機管理計画は?


 残念ながら、人間は、もう世界のすべてのマイクロチップを確認する時間的余裕がない、という非常に悲観的な向きもあります。となりますと、何も事故が起こらないことをひたすら祈るしかない、というようなところもありますけれども、行政としては、当然、万一トラブルが発生した場合にむけて、危機管理計画を立てていく必要があるはずです。そこで、この危機管理のあり方についても、いくつかお尋ねしたいと思います。


(質問5 危機管理計画はいつできるのか?)
 この「2000年問題」については、すでに各省庁より、いくつか指示が出ているわけですけれども、なかでも、危機管理という見地からは、自治省が、この4月に「地方公共団体のための危機管理計画策定の手引き」を出しております。これは、5月には区にも配布されているわけでありますけれども、自治省は、各自治体に対し、危機管理計画の策定についても、この6月の末を目途に急ぐよう、要望したとのことであります。杉並区では、この危機管理計画については、どのようになっていますのでしょうか。お答えください。


(質問6 自治省の求めている「2000年問題対策本部」の取り組み現状は?)
 さて、この自治省の作った手引きをこまかく読んでみますと、システムや機器の修正作業・模擬テストから危機管理計画まで一貫して取り組んでいくことや、そのための全庁的な意思決定機関として、各自治体においても「2000年問題対策本部」を設置する必要がある、などと書いてあります。そして、この対策本部の本部長は、区長またはこれに準じる職員とし、本部の構成員は、部長級の職員とすることが望ましい、というふうに書いてあります。杉並区では、どうなっているのでしょうか。区では今のところ、「2000年問題」について、どのような具体的なケースを想定し、対策を考えているのか、お尋ねしたいと思います。この「2000年問題対策本部」の取り組み現状について、お答えください。また、いったい本部長はどなたなのか、その他構成メンバーの具体的な役割はどうなっているのかについても、お答えください。


(質問7 事前に災害対策本部は設置するのか?)
 ちなみに、都では、1月1日前後に予想される混乱に備えるため、事前に災害対策基本法の規定にあります「災害対策本部」を設置することを明らかにしています。いまのところは、一二月下旬から1月4日まで設置するというお話ですが、これに対する区の取り組みは、どうなっていますでしょうか。当然、都が設置するわけですから、区が設置しないわけにはいかないと思うわけですけれども、どのように検討されていらっしゃるのか、お伺いたします。


(質問8 区民への情報提供・情報公開は?)
 それから、いくら計画を立てて、準備を進めたとしても、庁内の自己満足に終わってしまっては、全く意味がありません。2000年問題の影響は、区民生活の広範囲に及ぶと予想されるわけですから、区として、幅広く区民に、この問題に関する情報を周知徹底させる必要があると考えますけれども、ご見解をお伺いします。もちろん、極論のみを取り上げて、不安を煽るようなやり方は、得策ではありませんけれども、しかし、それが極論であるかどうかは、2000年になってみなければ、誰にもわからないというのが今の現状であります。大事な情報をひた隠しにした結果、不安が増幅し、大きな混乱が起こることだけは避けなければならないと私は考えますけれども、区長はどうお考えでしょうか。ご見解をお尋ねいたします。


 理事者の答弁
 
全般的に中途半端な答弁ばかりであり、のちに再質問を行った。
 とくに、質問5・6については、全く答えていない。

 区長 (質問1,2,8に回答)

 私からは、堀部議員の一般質問のうち、2000年問題に関する区の基本的な姿勢について、お答え申し上げます。まず、区職員の認識につきましては、どのような不測の事態が起きるか、想定できない大きな問題であると受け止めておりまして、自治省や東京都の指導に沿って、慎重に対応していきたいと思っております。

 次に、整備状況ですが、外郭団体も含め、事務処理のためのプログラムにつきましては、90%の処理を終えており、 7月にはコンピュータの模擬テストを行う予定でごさいまず。

 また、今後の取り組みにつきましては、区の内部に「2000年問題対策部会」を設置し、各課を対象に2000年問題の影響の有無について、再度、鋭意、調査を進めているところです。

 一方、地域における問題といたしましては、東京電力・東京ガス・警察・消防等関係機関と問題発生予想日の取り組みについて確認するとともに、今後「2000年問題関係機関連絡会」を設置し、じゅうぶんな危機管理体制について、準備していく予定でございます。

 なお、区民に対しましては、広報等を活用し、周知してまいりたいと考えております。残余のご質問につきましては、所管の部長よりお答え申し上げます。


 理事者の答弁つづき
  
 区政情報室長(質問1,3,4,7に回答)


 それでは、残りの問題につきまして、私の方から、お答えをいたします。たいへん突然のご質問がたいへん多かったため、じゅうぶんなご答弁ができないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 2000年問題の対策本部、その取り組み状況はどうなっているか、ということでございますが、いま、区長がお答えしました「2000年問題対策部会」、これは、区政情報室長、私がリーダーとなりまして、検討に入っております。庁内につきましては、検討に入っております。また、区以外の機関との関係におきましては、先ほど申しあげました「2000年問題関係連絡会」で、検討していく予定になっております。この二つの検討の結果をもちまして、今後の危機管理対応を考えてまいりたいというふうに思っております。

 それから、マイクロチップの問題でございますが、この私のリーダーになっている対策部会で、今後、庁内の実態を把握するために、調査を予定しております。「」コンピュータ西暦2000年問題対策の調査」を行う予定になっております。これで把握をしてまいりたい、というふうに考えております。

 それから、修正の状況でございますが、区長からお答えしました。すでに90%の修正が行われておりますが、残りにつきましては、10月末を目途に修正を考えております。また、この修正等対応についての予算でございますが、すべて職員で対応しておりますので、特段、予算の計上はしておりません。
(この点については、再質問3・4を行う)

 それから、2001年の1月1日以外の危機の想定日はどうか、とのお話ですが、今年の12月の31日、それから、1月の4日の年のはじめ、1月の31日・初めての月の月末、2月の29日のうるう年の対応、年度末の3月31日、これらをいちおう危険な日といいますか、こちらで想定している日でございます。
(この点については、再質問5でさらに追究)

 それから、イザというときの対応はどうか、ということでございますが、東京都は災害対策基本法により災害対策本部を設置して対応するということになっております。本区も、ほぼ同様の組織によって、対応することになると考えております。以上でございます。

(堀部やすし再質問)


 いろいろとご答弁ありがとうございました。何点かにわたりまして、再質問をさせていただきます。いまひとつ、要領をえない回答がたいへん多くございます。もう一度お答えをお願いいたします。  


(再質問1 今まで何をやってきたのか! 行政の不作為を問う)
 まず、お答えをお願いしたことのひとつにはですね、危機管理計画の策定は、いったい、いつになるのか、という質問がありましたが、それについては、お答えいただいておりません。しっかりとお答えいただきたいと思います。  

 だいたい、過去の委員会記録を調べてみますと、この2月の予算特別委員会において、区は、「2000年問題」に対応した危機管理計画を策定する必要性を認識しているとの確たる答弁をしております。あれから4ヶ月も経っております。いったい、この間、何をしていたんでしょうか。たいへんだと認識しているとはお答えになったけれども、いかにも役人答弁という感じで、ほとんど信憑性がありません。しかも、実際のところ、その対策本部長がいったい誰なのか,お聴きしたのですが、どうやら決まっていない模様ですけれども、いかがでしょうか。この点について、理事者の説明、いや、弁明を求めます。ハッキリ答えてください。


(再質問2 業務に支障が生じた場合の法的責任をどのように認識しているのか!)
 と、いいますのも、今年にはいりまして、損保協会などは、この「2000年問題」による事故や災害は、個人はともかくとしても、法人向けの保険契約については、保証対象にしない、などと発表しているわけです。それくらい、これはシビアな問題なわけです。万一、「行政の不作為」が問われたら、どうするんでしょうか? 「2000年問題」が原因となって、万一、日常的な業務に支障が生じた場合の法的責任を、いったい、区ではどのように認識しているのでしょうか。この点あわせて、明確な回答を求めます。


(再質問3 予算のあり方にモノ申す!)
 さらに、自治省は、各自治体に対して、全庁的な、つまり横断的な危機管理を求めているわけで、予算は特にとってない、職員が対応している、というお話ですけれども・・・要するに、管理は個々の部署に任せて、全庁的な総合的な危機管理は不要、というふうに私には聞こえるんですが、この点についても、明確にお答えください。

 先日、提出された補正予算を見ておりましても、「情報管理費」というから何かと思えば、ホームページを作るとか、また「防災費」というからので見てみれば、学校教職員に何か防災用の服を貸与するとか、そうした、ある意味、2000年を前にたいへん寝ぼけたことが書いてあるわけです。2000年を前に、こんなおかしな補正の仕方があるものかと私は思うわけですけれども、だいたい、ホームページを作ったり、防災服を与えたとしても、そのままでは「仏つくって魂入れず」というものであります。「21世紀ビジョン」をつくるために予算計上するのも結構ですけれども、その前に、21世紀を無事に迎えられるのかどうか、それをちゃんと考えて、こうしたものはお作りいただきたいと思います。これは区長の見解を正します。


(再質問4 進捗状況90%。具体的にどの分野が遅れているのか?)
 また、次に、システムについて、対応状況が90%であると。100%ではないと。3月までには、なんとかすると言っていたのが、いつの間にか10月末になっている。この点についても明確にお答えいただきたいと思います。そんないい加減な答えではなく、いったい、具体的にどの分野が遅れているのか、明確にお答えください。


(再質問5 9月9日ほか、幾つかの日について、全く想定していないのは、なぜか?)
 それから、問題が集中して発生する可能性がある日ということで、いくつかお答えいただきました。追加してお尋ねしたいわけですが、こうした2000年問題という形で問題が起こる可能性のある日として、たとえば、今年1999年の9月9日。これは、コンピュータのシステムが、「99」、9が並ぶとファイル終了ということで、システムがダウンしてしまう、そんな可能性もあるわけですが、この9月9日については、対策はとられていないということでしょうか。さらにいえば、2000年の、たとえば1月10日。これはですね、7ケタで、はじめて日付が出てくる日ですが、これも対応されていないんでしょうか。さらに、2000年の10月10日。これは8ケタで、2000年の最初の日付になります。これも、対応を予定されていないんでしょうか。明確にお答えください。


(再質問6 2000年問題への認識がこれほど低いのはなぜなのか?)
 ところで、アメリカでは、連邦緊急事態管理庁(いわゆるFEMA)が、自治体向けマニュアルを作成し、準備を進めております。ここにその資料がありますけれども、自治省の作っている手引きとそうかわらないものではあります。しかし、問題は、このFEMAのマニュアルができているのが、この2月のことであって、アメリカの多くの自治体では、もう危機管理計画の策定段階はすでに終わって、今ではそのテスト段階・訓練段階に入っているわけです。

 ちなみに、このFEMAは、阪神大震災の直後にずいぶん日本でも話題になった組織ですけれども、FEMAが平素から動き出しているということは、これはまさに非常事態ということであります。先ほども申しましたように、日本は、アメリカ以上に基盤が脆弱な国であります。石油をはじめとした燃料の100%を輸入に頼り、食糧もその70%を海外から輸入しています。もし、輸出国が「2000年問題」で倒れようものなら、かりに日本が1月1日を無事に乗り越えたとしても、いずれは日本も共倒れしてしまうわけです。これが杞憂であることを私は祈りたいと思いますけれども、しかし、危機管理計画といいますのは、最悪の場合を想定し、充分な備えをしておく必要があるものです。区の対応はずいぶん遅く、また甘いと言わざるを得ません。区の準備の遅れを強く指摘しておきたいと思います。改めて、このあたりをどう認識するのか、これも所管の理事者では、どうもあれでございますので、これは区長に確認しておきたいと思います。


再質問7 今後の防災対策の取り組み予定は?)
 ところで、8月26日から9月5日まで、毎年「防災旬間」ということになっておりますけれども、今年は「2000年問題」を意識した告知や、訓練などを実施するおつもりはあるのでしょうか。そうでなくとも、当然、各・防災市民組織や、災害時における民間協力組織などには、早々に協力を要請すべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。


(再質問8 各業者に2000問題対応済みの保証書を求めよ)
 それから、マイクロチップについても、これから対応していくというようなご答弁でしたけれども、あまりにも対応が遅すぎて、間に合うのかたいへん不安であります。間に合うなら、間に合うとハッキリとお答えください。

 ただ、埋め込みチップ製品については、関係する販売元すべてに2000年対策済みであるか否か、これをきちんと確認し、対策済みとのことであれば、それを販売元がどのような方法で判断したかを明確にさせる必要があります。当然、これは緊急を要しますので、また、被害の大きさも予想されますので、販売元には、保証書を要求すべきだと考えますが、ご見解をお伺いします。2000年問題では、みな、口を揃えて、どこもかしこも「対応しています」「いま、やっています」とは言うわけですけれども、その根拠が定かでない上、ただ混乱を避けたいがためだけに、対応済みと言うこともあるようですので、区としても、きちんと各業者に保証書を求めていただきたいと思います。


(再質問9 パニック対策は?)
 それから、消費者問題という観点からも、お伺いします。これまでお話ししてきましたように、「2000年問題」が契機となって、何が起こるかは、専門家でもわからないような状況にあります。早く意識啓発し、冷静な対応を求めていかなければ、もし、TVのワイドショーや新興宗教などが面白おかしく取り上げるようなことがあれば、大きな混乱が発生し、オイル・ショックの時のようなパニックが起こらないとも、これは限りません。また、素人の無知につけこんで、「2000年問題」を悪用した商売が出てこないとも限らないわけです。これは、すでにアメリカで現実に起こっていることばかりであります。この点、対策をとるおつもりがあるのかどうか、これもご見解をお伺いいたします。


(再質問10 対策の遅れに備え、区独自の対策も進めていくべきではないか)
 それから、現在のところ、政府は「2000年問題」による混乱や災害に対して、何か新しい法律で対応しようとする動きは見られません。万一、「2000年問題」によって、大きな災害が発生したとしても、現行の災害関連の法規で対応するということのようであります。しかし、地震や台風などの自然災害を念頭において作られた現行の法規で、はたして「2000年問題」にうまく対応できるかどうかは、はなはだ疑問であります。

 なにしろ、「2000年問題」が起こす災害は、他の災害とは異なり、これは全世界がほぼ同時期に直面する災害です。つまり、杉並区がすでに相互協力協定を結んでいる他の地区も、同じように「2000年問題」に直面することになります。相互協定すらも、全く機能しない可能性があるわけです。区は一日分だけの備蓄をしておけばよいとか、そんな従来のマニュアル通りの対応ではなく、早期に、たとえば、備蓄物資のいっそうの増強を行うなど、政府や東京都まかせの対策ではなくて、私は区としても独自のあ対策を進めていく必要があると考えますけれども、ご見解をお伺いします。

(おわりに)
 ことは一刻を争います。私は、今後も、この問題について、徹底的に区の姿勢を追及してまいりますので、しっかりと対応していただきたいと思います。こんなときだからこそ、若い新区長のリーダーシップに期待いたします。


  私の再質問に対する理事者の答弁

   再質問をしても、相変わらず、中途半端な答弁でした。
   なお、再質問の2.4.10などには、区は全く答弁しませんでした。

 区長(質問5・再質問1・3・6・7に回答)

 え~まず、堀部議員の再質問にお答え申し上げます。え~まず、2000年問題についての再質問でございまして、多岐にわたる専門性を交えたいろいろと貴重なご提案をいただきまして、え~区としても先程申し上げましたとおり、「2000年問題対策部会」で、え~検討を今すすめているところですけど、危機管理計画につきましては、9月の末から10月上旬をめどにきちっと作っていきたいと、こういう風に考えております。

 また、今後、いろいろと補正予算の中身についてもお話がございましたけれど、お~災害というのは、いつくるかわからない、これは、2000年問題しようが大震災しようが、これは同じ事だと思います。そういう意味では、ライフライン等が、切断された時に、区民の生活の安全や健康を守っていくという視点からたちますと、災害の対策というのは、2000年問題を含めて、常に準備をしておかなければいけない問題と、こういう風に認識しております。そういう点で、9月の上旬に行われます震災訓練などにおいても、今、ご指摘をいただきました、さまざまな2000年問題を視野に入れた訓練となるように研究をしていきたい。こういう風に考えておりますので、よろしくご理解いただきたいと思います。

 また、残余の質問につきましては、関係部長よりご答弁申し上げます。


 私の再質問に対する理事者の答弁つづき

 区政情報室長(再質問1・5・8・9に回答)


 それでは、再度のご質問にお答えいたします。え~っと、9月9日と2000年の一日一日以外の対応につきまして、お話がございました。これにつきましては、あの~、再度プログラムを確認いたしまして、再度チェックをしてみたいと思っております。

 それから、あの~マイクロチップの対応についてでございますけれど、これから調査をしてまいりますが、すべて万全という風にはいかないかと存じますが、調査の結果が、によって、対応してまいりたいと思っております。以前、調査は、一度、簡単な調査はして、問題はないという回答をいただいておりますけれど、再度、念を入れて調査を行う予定になっております。
(簡単な調査というのをいったい誰がしたのか、区はここでは明らかにしなかった。そんな簡単に個々のマイクロチップが調査できるものなのだろうか? 実に苦し紛れの答弁である)

 それから、消費者問題につきましては、東京都においても消費者相談の強化等を考えているようで、本区におきましても、消費者センター等で、そういう相談の強化を図っていくということで、いきたいという風に考えております。

 国の方の対応ですが、国の方は、これから危機管理計画を作っていくということで、自治省の方から都道府県、区市町村に指導がきている状態でごさいますので、国の方も今後の対応として考えていると理解しております。
(国も相当対応が遅れているが、そこまでひどい状況にはない!!)

 区としてもこれを受けまして対応してまいりますが、先程、区長がお答えしましたように内部の検討組織、外部の検討組織の結果を踏まえて対応してまいりたいという風に考えております。したがいまして、現時点で、その本部長、対策の本部長は、とくに設置しておりません。私からは以上でございます。


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