杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



東京警察病院 と 杉並区

 東京警察病院(財団法人自警会)が、中野区と杉並区にまたがる旧警大跡地に移転し、開院した。中野区に立地しているため、中野区との連携が進んでいる。

 しかし、新・東京警察病院の立地は杉並区との区境であり(徒歩1〜2分程度で杉並区高円寺北1丁目)、杉並区としても注目すべき病院といえる。 Yahoo!地図

 そこで、先日、杉並区議会医療問題調査特別委員会において公式に視察取材を行った。その内容は議会の会議録上には残らないこともあり、この機会に簡単に紹介しておきたい。

  東京警察病院の現状

 東京警察病院は、昭和4年に警視庁職員で組織された財団法人自警会の拠出金により設立された。移転前は飯田橋に存在していたが、警察大学校の移転に伴い、この地に移転して再出発することとなったのである。

 基本的には職域病院、しかも警察関係ということで、地域医療という観点から、どの程度の期待ができるものか、訪問者一同、実は半信半疑であった。

 しかし、実際には警察・職域関係の利用者は入院で1割、外来でも2割に過ぎないのだという。警察病院ということもあり、漠然と警察関係の利用が多いとばかり勝手に思っていたのだが、職域関係者の利用が想像以上に少ないことには驚かされた。


  移転開院後の3ヶ月(4月〜6月)の実績

  ●救急車搬入累計台数
   全日 1290台 (1日あたり14.2台)
   夜間  830台 (1日あたり9.1台)

  ●救急患者数 2922人 (1日あたり32.1人)



 救急車の搬送台数は、杉並区内が3分の1を占め、中野区よりもやや多い状態にある。中野区と杉並区との人口差(中野区31万人、杉並区53万人)・区境に立地しているという事情・幹線道路の状況など諸要因を考えれば、そう不自然とまではいえないだろう。

 なお、警察病院が飯田橋に存在していた時代(平成18年)における救急車搬送台数が1日平均13.1台であったことを考えると、移転前より若干ではあるが、多く受け入れをしていることになる。


 病院の主な特徴としては、次の3点をあげることができる。

 (1)大型ヘリポートを備えた災害時拠点病院としての機能/充実した救命センター

 警察病院の特徴として、ヘリポートを備えた災害時拠点病院としての役割がある。

 屋上のヘリポートは、面積576u(24×24)と大きく、22名乗りヘリコプター(9トン)の離発着が可能である。とにかく大きい。

 これを通じて24時間いつでも災害に緊急対応でき、被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能となっている。実に心強い。

 日本は世界有数のヘリコプター保有国である。しかし、23区内においては離発着できる場所に限りがあり、課題となってきた。大規模災害発生時に大きな役割を果たすことは間違いないだろう。なお、救急科部長の切田学医師は、阪神・淡路大震災で最も活躍された実績ある医師のおひとりとのことである。


 (2)脳神経外科・脳卒中センターにおける高い実績

 警察病院の特徴として、脳神経外科の実績を指摘することができる。

 東京警察病院の脳神経外科は、聴神経腫瘍の手術件数で全国1位となっている (→読売新聞社調べ)。脳神経外科部長の河野道宏医師は、ご自身のホームページをお持ちであるが、ご活躍の様子が非常によくわかる。


 (3)職域病院とは思えない生活者重視の姿勢
   (土曜全日診療の実施、平日8時30分よりスタートする診察など)

 一般に大病院は土曜の診察は半日のみ、平日の診察も午前9時からとしている医療機関が多い。

 これに対して、警察病院では、勤労者の通院を考慮し、土曜も全日診療を実施しており、平日においても8時30分より診察をスタートしている(受付は8時〜)。

 杉並区を含む区西部医療圏において、このような対応をとっているのは東京警察病院のほか、東京医大のみである。

 地域医療担当の副院長も、中野区医師会・杉並区医師会との連係に力を入れていることを力説されていたのだが、移転とともに、より地域特性を意識した病院経営に転換していることが伺えた。

 このほか、病院側からは、最新鋭の高度医療機器や採光に配慮した病室など、数多くの特徴について説明を受けたことを付記しておきたい。視察・取材にあたり、お世話になった関係者のみなさんに深く感謝申し上げる次第である。

杉並区における地域医療体制と課題


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