杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし 2003/4
1 高すぎる公共事業と「お役所仕事」 区の入札・契約改革に取り組みます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
区の工事においても、非常に工事単価が高いことがわかります。 実際に、その豪華さが「ホテル並みだ」と批判されたこともある井荻中学校よりも、さらに高い単価のものが続出しています。 また、議会の議決が不要な契約の数々にも多くの問題が潜んでいます。 議会の議決が必要な契約は(工事の場合)、条例で契約額1億5,000万円以上となっており、それ以下の契約は議決が要らないため、役人の裁量でどんどん契約することができるようになっています。 実際、数々の重要契約が議会の議決を通さないまま行われていますが、ここにも数々の「お手盛り」が存在しています。
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2 区債残高は減っても、固定負債は着実に増えています。 成果思考を重視し、真に必要な政策に財源を。 |
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最近、区は「区債残高が減ってきた」と財政が健全化に向かっているかに説明しています。 しかし、区債だけが債務(借金)というわけではありません。ここが重要です。 民間でも債券以外の資金調達があるのと同じこと。区にも区債によらない負債が存在しています。(表3)をご覧ください。区の債務負担行為額の状況です。
区債残高が減っても、区債によらない借金が増えているため、杉並区の固定負債はグンと増えているのです。 このほかにも、「団塊の世代」が定年する際の退職手当や一部事務組合の負債の存在なども、区債以外の負債として深刻です。 民間では、関係企業を連結し、年金や退職金債務についても配慮したうえで、バランスシートを分析します。公会計も、同様にみれば、いかに厳しい状態か一目瞭然です。 国と地方の借金はすでに700兆円。また、将来の国民に支払う年金債務もすでに800兆円。さらに特殊法人にも債務が山積しています。 しかし、個人の金融資産は1400兆円しかありませんから、日本はすでに債務超過に陥っているとも言えるのです。 なお、杉並区の収入の少なくない部分が、国や都の負担金や交付金によるもの。実際の区税収入は、決算の4割を占めるに過ぎません。 課題山積の教育問題をはじめ、介護・子育て・地域の環境保全に必要な財源を安定的に生み出していくためにも、財政規律を取り戻すことは、急務の課題です。
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3 教育改革は待ったなし。「ゆとり教育」一辺倒ではなく、 構造改革特区法の活用で、区立でも多様なカリキュラムの実現を。 |
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●これからの教育に必要なものは 黒柳徹子さんの自伝小説『窓際のトットちゃん』にトモエ学園の話が出てきます。 トモエ学園は、日本にリトミックを普及させた小林宗作先生がつくった学校。トットちゃんは、最初に入学した小学校で問題児扱いされて、すぐに退学になりますが、ユニークな教育方針をもっトモエ学園に転校し、元気に育ちました。 トモエ学園には、特段立派な校舎も校門もなかったそうです。また、教室も、古くなって払い下げられた電車を使っていたといいます。 日本も、昔は複線的で多様な教育が認められており、理想と情熱を持った大人が、ある程度自由に学校をつくることができたというわけです。 ところが、戦後になると、やたら文部省の規制が多くなり、少し努力したという程度では学校をつくることはできなくなってしまいました。 その結果、どこにいても「平等な教育」が受けられるようにはなったのかもしれませんが、それは画一化が進んだということでもあります。その画一化が、今日ではガンになっています。 ●特区法の活用で新しい学校を 不登校や引きこもりの増加を見てもわかるように、現在存在している学校だけでは、もはや現実問題に対応しきれなくなってきています。 これを打開するためには、昔のように教育に強い情熱をもった人たちが中心となって、社会のニーズを的確に捉えた「新しいタイプの区立校」を誕生させていくことが不可欠と考えます。幸い、構造改革特区法の誕生(改正)によって、この実現は夢ではなくなってきました。 私は、小規模化が進むいくつかの区立校や南伊豆にある区立健康学園の校舎・校地を積極的に活用(転用)すれば、従来にない全人教育を行う学校をつくることが十分可能であると考え、議会でも提案をしてきたところです。 参考になるのは、すでにアメリカで実践されているチャーター・スクールという「新しいタイプの公立学校」の存在です。 これは、経済的な理由から私立に行けない者であっても、多様な教育カリキュラムから自分にあったものを選択できるように生み出されたもの。杉並でも、構造改革特区法を活用し、新しいタイプの学校を実現したいと思っています。 ●行政の最重要課題は教育 南米のアルゼンチンは、20世紀の初頭、世界の経済大国のひとつでした。それは、ヨ−ロッパの人々が移住先として、アルゼンチンか、アメリカ合衆国か、どちらを選ぶか迷うほどだったと言われています。 しかし、現在のアルゼンチンには、そのような過去の栄光は見る影もありません。それどころか、アルゼンチンの経済破綻は、世界経済の大きな悩みの種になってしまっています。 実際に最近でも公的な対外債務のほとんどが支払停止に陥りました。品川区の外郭団体が多額のアルゼンチン国債を買っていたため、大問題となったのは記憶に新しいところです。どうしてこうなってしまったのでしょうか。 同じことは、スペインにもポルトガルにもいえるのでしょうが、社会の変化(産業構造の変化)や技術革新に対応しなかった国は、あっという間に衰退してしまうということだと思います。社会の変化に対応するためにも、教育は行政の最重要課題です。 ●「ゆとり教育」一辺倒ではなく 日本は資源もなく人口が多い国です。現在の国力を維持するには、知的レベルの向上を図るしか手段はないはずですが、この国では「ゆとり教育」と称して学習内容を減らし、レベルを下げる政策をとっています。 私は、すべての子どもに一律に「ゆとり教育」を強制することには反対の立場であり、早くから議会でも異論を唱えてきました。 日本の子どもの学習時間は、先進国の中でも、もはや最低レベルにまで落ち込んでおり、それは、統計がハッキリと示しています。 OECDの調査でも、国際教育到達度評価学会(IEA)の調査でも、日本の子どもの勉強時間(塾での学習を含む)は、調査国中の最低レベルだったのです。日本の子どもは勉強しすぎなどというのは、もうかなり古い話なのです。 たしかに、「詰め込み教育」一辺倒はよくないでしょう。しかし、産業構造の変化や技術革新に対応していくためには、勉強すべき内容はむしろ年々増えており、学習時間や内容を一律に減らすのは、非常に危険なことです。 2025年には、日本人の4人に一人は高齢者となります。今後、納税者や納税額が減少するのは避けられない情勢である以上、このまま政策判断を誤れば、アルゼンチンのようにならないとも限らないのです。教育改革は待ったなしと考えます。
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