杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし 2003/4
杉並区議選2003を前に
堀部やすしが重視して取り組む今後の課題
 1 高すぎる公共事業と「お役所仕事」  区の入札・契約改革に取り組みます。
(表1) 高止まった公共工事単価     公共工事は民間工事よりはるかに高い傾向にありますが(表1)、杉並区の公共事業でも、それは同じです。


 (表2)をご覧ください。この数年内に建設された区立施設の工事単価です。



内閣府・平成13年度地域経済レポートより
(表2) 区の最近の施設建設と工事単価 

     工事単価     工事単価
新・杉並公会堂 66万円/u 高円寺体育館・清掃事業所 52万円/u
荻窪5丁目 複合施設 43万円/u 清掃事業所(高井戸・事務棟) 47万円/u
区職員男子独身寮 37万円/u 桃井児童館 48万円/u
東福祉事務所(高円寺) 41万円/u 井荻中学校 38万円/u
宮前ふれあいの家 50万円/u    


 区の工事においても、非常に工事単価が高いことがわかります。

 実際に、その豪華さが「ホテル並みだ」と批判されたこともある井荻中学校よりも、さらに高い単価のものが続出しています。

 また、議会の議決が不要な契約の数々にも多くの問題が潜んでいます。

 議会の議決が必要な契約は(工事の場合)、条例で契約額1億5,000万円以上となっており、それ以下の契約は議決が要らないため、役人の裁量でどんどん契約することができるようになっています。

 実際、数々の重要契約が議会の議決を通さないまま行われていますが、ここにも数々の「お手盛り」が存在しています。

●堀部の主張・政治姿勢

 区の入札・契約のあり方を抜本的に改善し、お役所仕事のコスト削減に取り組みます。

 安直な随意契約や予定価格に対する落札率が100%近くとなっている高値落札を防止するためにも、入札参加者を多様にし、確実に競争性を確保することが必要です。

  • 談合の排除に成功した横須賀市の成功例に習い、一般競争入札の拡大や電子入札の早期導入を推進します。一方で、よい仕事をする業者が報われるよう、民意の反映する契約方法についても検討します。

  • 議決を必要とする契約やホームページ上での情報公開範囲を拡大するべく取り組みを進め、契約のあり方の見直し・監視を強めます。

  • 契約金額が巨額なもので、著しい問題がある場合は、これまでどおり監査請求等法的手段も辞さない姿勢で取り組みます。
    2 区債残高は減っても、固定負債は着実に増えています。
                          成果思考を重視し、真に必要な政策に財源を。

 最近、区は「区債残高が減ってきた」と財政が健全化に向かっているかに説明しています。

 しかし、区債だけが債務(借金)というわけではありません。ここが重要です。

 民間でも債券以外の資金調達があるのと同じこと。区にも区債によらない負債が存在しています。(表3)をご覧ください。区の債務負担行為額の状況です。

(表3) 杉並区の債務負担行為に関する調べ
 (区の「予算外義務負担」の状況)


※土地開発公社の債務保証は含まず
各年度の予算書より作成
 これは予算外義務負担とも呼ばれるもので、すでに将来の区の支出が約束されている分の金額を示すものです(固定負債の一種)。

 これだけで区がこれまで積み立ててきた基金がすべて消滅してしまうくらいの金額です。

 区債残高が減っても、区債によらない借金が増えているため、杉並区の固定負債はグンと増えているのです。

 このほかにも、「団塊の世代」が定年する際の退職手当や一部事務組合の負債の存在なども、区債以外の負債として深刻です。



 民間では、関係企業を連結し、年金や退職金債務についても配慮したうえで、バランスシートを分析します。公会計も、同様にみれば、いかに厳しい状態か一目瞭然です。

 国と地方の借金はすでに700兆円。また、将来の国民に支払う年金債務もすでに800兆円。さらに特殊法人にも債務が山積しています。

 しかし、個人の金融資産は1400兆円しかありませんから、日本はすでに債務超過に陥っているとも言えるのです。

 なお、杉並区の収入の少なくない部分が、国や都の負担金や交付金によるもの。実際の区税収入は、決算の4割を占めるに過ぎません。

 課題山積の教育問題をはじめ、介護・子育て・地域の環境保全に必要な財源を安定的に生み出していくためにも、財政規律を取り戻すことは、急務の課題です。

●堀部の主張・政治姿勢
  • 予算重視から決算重視へ。バラマキやお手盛り予算には厳しく対応し、「成果思考」で賛否を決定しています。

  • 無計画な基金の取り崩しや災害緊急時以外の赤字区債の発行には、原則として同意しない方針を持っています。

  • 役割の終わった外郭団体や民業を圧迫している事業は廃止。土地開発公社の廃止や区有保養所の廃止を主張します。

  • 公共施設の再編や有効活用を推進。改修や余裕施設の転用を重視し、これまでも安易なハコモノ建設には同意してきませんでした。

  • 今後、満期が到来する赤字区債についても、安直に子や孫の世代にツケ回しをせず、できるかぎり一括償還していくべきと考えています。

  • 行政評価を徹底し、「発生主義会計」の本格導入やメリハリのある「成果主義予算」が実現するよう、論戦を挑みます。

  • 区の予算・決算の3割強が人件費。公務員の退職金を含め、タブーなく区財政と人事制度の変革の必要性を主張していきます。

  • 私は議員定数削減の提案議員の一員ですが、4議席減にとどまらざるを得なかったことは、本当に残念でした。杉並は50万都市ではありますが、今後さらに厳しく「少数精鋭によって質の高い議会」の実現を模索する必要があると考えています。

  • 東京23区の再編に賛成です。とくに、将来の「道州制」の実現にむけ、独自に区のあり方の見直しを検討していきます。
     3 教育改革は待ったなし。「ゆとり教育」一辺倒ではなく、
             構造改革特区法の活用で、区立でも多様なカリキュラムの実現を。
●堀部の主張・政治姿勢
  • すでに「学校選択制」は実現。次は「客観的な教員評価(授業評価)」や「各自の習熟度に対応した授業」が必要と主張してきましたが、幸い、それも実ってきました。

  • 今後は構造改革特区法を活用し、区立校の運営形態やカリキュラムの多様化を実現する必要があると考えています。「区立では勉強できない」と言われないようにするためにも。


 ●これからの教育に必要なものは

 黒柳徹子さんの自伝小説『窓際のトットちゃん』にトモエ学園の話が出てきます。

 トモエ学園は、日本にリトミックを普及させた小林宗作先生がつくった学校。トットちゃんは、最初に入学した小学校で問題児扱いされて、すぐに退学になりますが、ユニークな教育方針をもっトモエ学園に転校し、元気に育ちました。

 トモエ学園には、特段立派な校舎も校門もなかったそうです。また、教室も、古くなって払い下げられた電車を使っていたといいます。

 日本も、昔は複線的で多様な教育が認められており、理想と情熱を持った大人が、ある程度自由に学校をつくることができたというわけです。

 ところが、戦後になると、やたら文部省の規制が多くなり、少し努力したという程度では学校をつくることはできなくなってしまいました。

 その結果、どこにいても「平等な教育」が受けられるようにはなったのかもしれませんが、それは画一化が進んだということでもあります。その画一化が、今日ではガンになっています。


 ●特区法の活用で新しい学校を

 不登校や引きこもりの増加を見てもわかるように、現在存在している学校だけでは、もはや現実問題に対応しきれなくなってきています

 これを打開するためには、昔のように教育に強い情熱をもった人たちが中心となって、社会のニーズを的確に捉えた「新しいタイプの区立校」を誕生させていくことが不可欠と考えます。幸い、構造改革特区法の誕生(改正)によって、この実現は夢ではなくなってきました。

 私は、小規模化が進むいくつかの区立校や南伊豆にある区立健康学園の校舎・校地を積極的に活用(転用)すれば、従来にない全人教育を行う学校をつくることが十分可能であると考え、議会でも提案をしてきたところです。

 参考になるのは、すでにアメリカで実践されているチャーター・スクールという「新しいタイプの公立学校」の存在です。

 これは、経済的な理由から私立に行けない者であっても、多様な教育カリキュラムから自分にあったものを選択できるように生み出されたもの。杉並でも、構造改革特区法を活用し、新しいタイプの学校を実現したいと思っています。


 ●行政の最重要課題は教育

 南米のアルゼンチンは、20世紀の初頭、世界の経済大国のひとつでした。それは、ヨ−ロッパの人々が移住先として、アルゼンチンか、アメリカ合衆国か、どちらを選ぶか迷うほどだったと言われています。

 しかし、現在のアルゼンチンには、そのような過去の栄光は見る影もありません。それどころか、アルゼンチンの経済破綻は、世界経済の大きな悩みの種になってしまっています。

  実際に最近でも公的な対外債務のほとんどが支払停止に陥りました。品川区の外郭団体が多額のアルゼンチン国債を買っていたため、大問題となったのは記憶に新しいところです。どうしてこうなってしまったのでしょうか。

 同じことは、スペインにもポルトガルにもいえるのでしょうが、社会の変化(産業構造の変化)や技術革新に対応しなかった国は、あっという間に衰退してしまうということだと思います。社会の変化に対応するためにも、教育は行政の最重要課題です。


 ●「ゆとり教育」一辺倒ではなく

 日本は資源もなく人口が多い国です。現在の国力を維持するには、知的レベルの向上を図るしか手段はないはずですが、この国では「ゆとり教育」と称して学習内容を減らし、レベルを下げる政策をとっています。

 私は、すべての子どもに一律に「ゆとり教育」を強制することには反対の立場であり、早くから議会でも異論を唱えてきました。

 日本の子どもの学習時間は、先進国の中でも、もはや最低レベルにまで落ち込んでおり、それは、統計がハッキリと示しています。

 OECDの調査でも、国際教育到達度評価学会(IEA)の調査でも、日本の子どもの勉強時間(塾での学習を含む)は、調査国中の最低レベルだったのです。日本の子どもは勉強しすぎなどというのは、もうかなり古い話なのです。

 たしかに、「詰め込み教育」一辺倒はよくないでしょう。しかし、産業構造の変化や技術革新に対応していくためには、勉強すべき内容はむしろ年々増えており、学習時間や内容を一律に減らすのは、非常に危険なことです。

 2025年には、日本人の4人に一人は高齢者となります。今後、納税者や納税額が減少するのは避けられない情勢である以上、このまま政策判断を誤れば、アルゼンチンのようにならないとも限らないのです。教育改革は待ったなしと考えます。

 堀部やすしは、経済的な理由で私立に行けない者であっても、区立でも勉強ができるよう「ゆとり教育」一辺倒の見直しを主張します。

 また、各自の得意分野を伸ばす教育を進めるためにも、学校に蔓延している「悪平等」を改め、各自の習熟度にあわせた指導方法違いを認める教育の導入をさらに推進します。

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