杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2003/3
  差異はどこに?
新旧「多選自粛条例案」の比較

 多選自粛条例について検討すべき論点は、すでにホームページ上にアップしているところです。ぜひご覧いただき、ご意見をお寄せいただければ幸いに存じます。(→ 【論点整理】 区長の多選制限(自粛)条例を考える

 これが「法律」による規制であれば、何ら問題ないと思いますし、大賛成なのですが、「条例」による制約となると「現行法制との兼ね合い」という意味で、判断が非常に悩ましく、私もいまだ結論が出せないでいます。法治国家である以上、法の趣旨を無視することもできないからです。

 このような中、昨年提出されていたこの条例案が、審議の途中で突然取り下げられるという事件が発生しました。そして、その後、再び新たな文章構成による同名・同内容の条例案が提出されてきました。

 以下に条例案の新旧を対照できるように全文を掲載しますが、ご覧いただければお分かりいただけると思いますが、驚くべきことに双方の案文は文章構成こそ変われど、内容はまったく同じと言っても過言ではないのです。

 なぜ、このようなことになったのでしょうか。

 一説に、さまざまな政治的取引の過程で、一部の反対派が急に賛成に回ることにしたからであるという見方あります。

 ただ、旧条例案文については、すでに多くの議員が批判をしてしまっている関係から、それをそのまま認めるのはちょっと・・・ということから文章構成を換え、新条例として出し直されることになったとする説です。

 たしかに、この条例は、このままでは審議未了で廃案になってしまう可能性もありました。これで可決に向かって大きく動き出したと囁かれています。

 真偽のほどは、以下の新旧条例案文をご確認の上、ご判断いただければと思います。

 多選自粛条例案の新旧比較

杉並区長の在任期間に関する条例 杉並区長の在任期間に関する条例
旧条例案 新条例案


1 杉並区長(以下「区長」という。)は、適算して三任期(各任期における在任期間が、四年に満たない場合もこれを一任期とする。)を超えて在任することのないよう努めるものとする。

2 区長の職の退職を申し出た者が当該退職の申立てがあったことにより告示された当該区長の選挙において当選人となり引き続き在任することとなる場合においては、当該退職の申立てに係る選挙の直前及び直後の任期を併せて一任期とみなして前項の規定を適用する。

 附 則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 平成十一年四月二十七日前の区長の任期は、通算しない。

(提案理由)
 長期にわたり一人の者が地方公共団体の長の地位に就いていることに伴う弊害の発生のおそれを未然に防止し、地方自治のより一層の活性化を図る必要がある。

(目的)
第一条
 この条例は、杉並区長(以下「区長」という。)が杉並区(以下「区」という。)を統轄し、予算の調製及び執行、職員の任免その他の権限を行便する地位にあることにかんがみ、区長の在任期間について必要な事項を定めることにより、高い倫理観や資質を有する場合においても、その者が長期にわたり区長の職にあることに伴う弊害を生ずるおそれを防止し、もって区政運営の活性化及び区の自治の更なる進展を図ることを目的とする。

(区長の在任期間)
第二条
 区長は、通算して三任期(各任期における在任期間が四年に満たない場合もこれを一任期とする。)を超えて在任することのないよう努めるものとする。

2 区長の職の退職を申し出た者が当該退職の申立てがあったことにより告示された当該区長の選挙において当選人となり引き続き在任することとなる場合においては、当該退職の申立てに係る選挙の直前及び直後の任期を併せて一任期とみなして前項の規定を適用する。

(区長在任中の責務)
第三条
 区長は、その職務が区民から負託された公務であることを自覚し、在任期間中、区の最高規範たる杉並区自治基本条例(平成十四年杉並区条例第七十三号)の定めるところにより、全力を挙げて区民等の福祉の増進を図り、区政に対する区民の信頼を確保するよう努めなければならない。

附 則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 平成十一年四月二十七日前の区長の任期は、通算しない。

(提案理由)
 区長の在任期間について必要な事項を定める必要がある。
投票掲示板 「多選自粛条例」に賛成?反対? へ

ご意見、ご感想はこちらまで