杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線2002

「教育改革特区」構想を提出

小泉内閣の「構造改革特区」構想 〜杉並区の提案

 小泉内閣の目玉政策に「構造改革特区」構想があります。地域の自発性を尊重する形で規制緩和を認め、経済の活性化・地域の活性化を実現しようというものです。

 今回、杉並区は、この構想を受けて、杉並区に新しいタイプの学校を創設するため、「教育改革特区」構想を提出しました。(このほかに久我山駅南口広場整備事業)

 すでに実現している学校選択制から、今後特色ある教育を実現していくためにも、日本の事情にあったチャーター・スクール(コミュニティ・スクール)の実現まで、議会でもとくに力を入れて話題にしてきただけに、私も期待に胸をふくらませています。

 100%理想どおりとはいかなくとも、少しでも硬直した現状を超えられるものになるなら、なんとしても実現したい。そう思います。

 政府は、早ければ、この秋の臨時国会に法案を提出する予定とのことで、今年度内に第1次の認可が出る可能性もあります。ただし、現実的には、この提案書をもとに特区が指定されるわけではありません

 また、かりに指定されたとしても、補助金などの財政支援はないことになっていますので、財政面でも、運営面でも、相当の覚悟をもって取り組む必要があります。

 実際に特区の指定を受けたとしても、理想の実現には、多くの方の力が必要です。現状において、早期に理想が実現することは難しいと思いますが、これを機会に議論が広がっていくことを期待しています。
 参考までに、杉並区教育委員会が政府に提出した提案書の概要を掲載します。

 杉並区の提案する
 教育改革特区 「新しいタイプの学校の創設」の概要

●特区の目的・必要性

 杉並区教育委員会は、未来を担う子どもたちが、楽しく学び、思いやりのある心とたくましく生きる力をはぐぐむことのできる教育の推進をめざし、「教育改革アクションプラン」を作成し、児童・生徒及び保護者のニーズを反映した、「特色ある学校づくり」「地域に開かれ、地域の中にある学び舎としての学校づくり」に取り組んでいる。

 この取り組みをさらに進めていくために、従来の制度の枠を越え特区制度を活用した大胆な施策の展開を図る必要があると考える。

 そこで、半官・半民の新しいタイプの学校を創設し、地域住民が学校運営に積極的に関与することにより地域に根ざした教育を推進する。その相乗効果として、既存の公立校がより活性化されることもねらいとする。
●具体的に行おうとする事業

 新しいタイプの学校の創設
  • 独立法人的な小中一貫校の創設
  • 区独自の新しい全寮制通常学校の創設
●事業実施の際に全体として規制の特例が果たす役割

 「小中一貫教育」や「全寮制通常学校」で子どものトータルな発達をはかり、任用権の規制の適用除外による杉並区独自の教職員任用や独立行政法人的な学校経営を可能にするなどにより地域に根ざし連携した教育活動の一層の進展を図る。

 新しいタイプの学校を半官・半民で運営することによる、地域人材の活用や民間資本の導入を図る。
●具体的な地域経済の活性効果の見込み

 校長をはじめとする杉並区独自の教職員任用により、地域人材の有効活用を図る。
 民間企業や、区民による学校運営資金の出資を可能にすることにより経済の活性化を図る。
●民間企業、関係団体等との調整状況

 学校経営を行っている企業などと意見交換を行っている
●他の地方公共団体との連携状況

 特にない

 要望事項の詳細

●規制の特例についての要望事項

 新しいタイプの学校実現にあたり、

▼学校の設置について
 学校法人以外の民間の資本やNPOの出資を可能にし、いわゆる独立行政法人的な学校の設置を可能にする。

▼県費負担教職員の任用制度について
 県費負担教職員の任用制度に関する規制を見直し、都道府県教育委員会が保持する県費負担教職員の任命権を区市町村教育委員会に委譲する。
 なお、円滑な学校運営を維持するため、県費負担教職員人件費相当額については、十分な担保が不可欠である。

▼教科書採択の権限
 教科書採択の権限を当該校に委譲する。


 規制の特例を講じることによる具体的効果

▼学校の設置について
 学校法人以外の民間の資本やNPOの出資を可能にすることで、地域住民の要望を最大限に生かした学校運営を可能にする。

▼県費負担教職員の任用制度について
 県費負担教職員という人的資源を最大限に活用することができる。
 教職員は、勤務地である杉並区の教育目標に対する理解をより深め、地域に根ざした教育活動を継続的に実践することができる。

▼教科書採択の権限の委譲について
 教科書採択の権限を当該校で行えるようにすることによって、教育の独自性がより強く打ち出せる。

 これらの実現により、人事管理や資金運営管理を独自の責任と権限に基づき行うことができ、児童・生徒及び保護者のニーズを反映した「特色のある学校」、「地域に開かれた学校」づくりが可能になる。

 

 現状(規制状況)
▼学校の設置について
 学校は、国、地方公共団体及び学校法人のみが設置することができるとされ、地域住民の要望に基づく自由な設置を行うことができない。

▼県費負担教職員の任用制度について
 1.法律に関する問題
  • 区市町村教育委員会の含む監督が間接的なものとなる
  • 校長が都道府県教育委員会に対して直接的な措置を要求できない
  • 区市町村教育委員会の内申権が形骸化している。
 2.教育現場に関する問題
  • 教職員等が地域に根ざした継続的な職務の遂行を行えず、区市町村教育委員会の目指す教育方針を実施されにくい状況にある。
  • 一定期間で移動し、別の自治体に移ることが事前にわかっているため、教職員等が勤務地の区市町村に愛着を持つことができない。
  • 教職員等が地域に根付かず、区市町村が目指す地域と連携した教育活動や教育改革をすすめる上での阻害要因となっている。

▼教科書採択の権限
 公立学校で使用する教科用図書は、種目ごとに一種の教科用図書を採択するものとされ、学校が独自性・主体性を発揮し、地域性を考慮のうえ教科用図書を採択することができない。


 ※以下、それぞれに該当する法令・規制・該当条文については省略します。

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