杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 | No.43 |
どうなる?!杉並区の介護保険 オンブズマンを置かずにスタートへ |
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杉並区の介護保険の全容が明らかになっています。以下、これまでの審議などから、明らかになった杉並区の介護保険の問題点について、行政の広報では取り上げられていない角度から、いくつかまとめてみます(なお、この4月にFAQ化するため、再編集しました) 介護保険については、これまでもお伝えしてきたように、かりに杉並区が低福祉路線でいくにしろ、高福祉路線でいくにしろ(区はこのあたりをなかなか明確に示していません。もちろん、この点も、今後さらにその方針を追及していく予定です)、各自の介護の必要度を計る「要介護認定」だけは、きちんと公平公正なものとするよう、私は重ねて要望してきたところです。 残念ながら、厚生省の発言には矛盾点が多いのですが、国会ではそれがあまり議論されないままになっています。この制度は、各区市町村の自治事務ですので、その矛盾をいかに各区が調整していくかが大きなポイントになっているところです。今後とも各地の実態や動向を調査し、今後も区に改善を求めていきます。
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「杉並らしさ」という問題 ●どの程度の福祉水準を求めるのか、もう少し整理していくが必要がある |
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介護保険は、法律上、「自治事務」ということになっています。要するに、住んでいる自治体が違えば、制度の運用にも差がある制度なのです(だから、住んでいる地域によって高齢者の納める保険料も違うわけです)。このため、介護保険の実施にあたっては、各地でさまざま独創的な取り組みが進められています。 ちなみに、善いか悪いかは別として、杉並区では、厚生省の示した内容に沿った、極めて標準的な取り組みが行われています。とくに「杉並らしさ」を感じさせるものは何もないと言っていいでしょう。区は、「高齢者の自立支援」という理念にこそ「杉並らしさ」があるとかなんとか言っていますが、他の自治体でも、だいたい同じようなことを言っていますし・・・ たとえば、お隣の武蔵野市では、早期に必要量を満たすために、はじめから保険料も高めに設定したり、NPOを活用した独特のテンミリオンハウスの設置など、次々と明確な指針を打ち出していますが、杉並区では、とくに明確に進んだ施策があるとはいえないのです(きわめて標準的な取り組みであるという意味であって、他と比べて著しく遅れているという意味ではありません)。 もちろん、高福祉には高負担がつきものですから、それが一概に良いとも言えない部分はあります。ただ、杉並区の保険料が、武蔵野市と比べて特別に安いというわけでもないことは指摘しておきたいと思います(武蔵野市の保険料は3,300円。杉並区は2,940円。なお、ともに65歳以上の保険料基準額)。問題は、私たちが、この保険料の差をみて、武蔵野市なみのサービスを受けることを望むか、望まないかということだと思います。どの程度の福祉水準を求めるのか、もう少し区民レベルで整理していくことが必要だと思っているところです。 |
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保険の基本は、リスクをどう算定するかだが・・・ ●すでに推計値と違う結果が出ている認定結果 これをどう捉えていくのか? |
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すでにスタートする前から、事前の推計値と異なる結果(要介護認定結果)が出ており、より重度に認定される方が多くなっています。ということは、当初の推計よりもサービス利用が増える可能性があり、それが財政悪化につながる可能性もあるのですが、今のところその動向は楽観視されています。おそらく、利用しにくい制度(わかりにくい制度)であることをいいことに、厚生省も杉並区も足元を見ているのかもしれません。 たとえば、それは・・・「自己負担に耐えられない人もいるだろうから、利用はそうそう増えないだろう」「身体介護と家事援助との間の折衷型ができるなど、介護報酬額も抑えられたので、財政悪化にはつながらないだろう」「今後は認定を厳密に行うよう指導した」(←これは事実上、高めに認定するなという厚生省の圧力ではないかとも思ってしまいますが)・・・という具合です。しかし、そのどれも、制度の精神を根本から否定するような思考であり、もし、本当にそう考えているとすれば、問題です。 なにより、まがりなりにも保険制度になる以上は、リスクにあわせて緻密に保険料を算定すべきです。スタート前から、現実と異なる「間違った推計値」に基づいて算定された今の保険料額等には問題があると私は考えています。 これに対する区の答弁は苦しいものがありましたが、もはや走りながら調節していくほかないという状況のようです。区だけでなく、厚生省が意図的に利用しにくい制度のまま放置したり、介護報酬を低め誘導させて逃げたりしなければいいのですが・・・(この点に限らず、国会や厚生省の態度の変化にひたすら振り回させられてしまった各区市町村も、可哀相といえば、可哀相なのですが・・・) 気になる保険料は? まず、65歳以上の保険料(杉並区)は、上の表の通りです(なお、平成12年4月〜9月までは無料、10月〜平成13年9月までは半額)。なお、都内の区市町村では、だいたい3,300円〜2,800円程度の間の保険料(いわゆる基準額)となっており、その平均値は3,000円強です。保険料は年金より天引きされます(年額18万円以上の年金を受給されている方)。 なお、40歳〜64歳までの方は、しっかり4月から徴収(それぞれ加入している医療保険に上乗せ)されますが、金額は加入している医療保険によって異なります。それにしても、働き盛りで社会的な責任も重い世代にだけ負担を押しつけるかのような不公平なスタートは、どうも納得できませんね。
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