杉並区議会議員(無所属) 堀部やすし最前線 | No.30 |
「杉並病」のその後 「杉並病」のいま |
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新しくFAQ(よくある質問)コーナーを設置しました。今週の話題「杉並病」について、ご存じない方は、ぜひ、そちらからご覧ください。 さて、「杉並病」のその後、「杉並病」のいま・・・は、以前よりも、むしろ事態はより悪くなっているという状況にあります。わずかに、前進しているのは、@杉並病と言われている症状が、「ここ1年は鎮静化している」という表現は不適切なものであると認め(各方面に対し、まるで杉並病が軽微な問題であるかのような誤解を与えてしまったため)、今後は鎮静化しているという表現は差し控えるという答弁が出てきたこと(災害・環境問題対策特別委員会での堀部の質問に対する答弁)や、A杉並病の原因究明よりも被害者の救済を優先するという答弁が出てきたこと(本会議一般質問でのとかしき議員の質問に対する答弁)、Bこの問題に関する住民参加の懇談会について準備が進められていること・・・ぐらいなものです。 私もいろいろ教えを受けながら個人的に動いてきたのですが、事態は好転しておらず、むしろ非常に厳しい状況になっています。繰り返しの指摘になりますが、これは「水俣病」の再来といっても過言ではありません。しかも、大気汚染という点からも、このまま放置することによって、「水俣病」をはるかに上回る被害が出ないとも限りません。鉄壁の官僚機構の前に、無力感ばかり感じる日々ですが、今後も、あらゆる手を尽くして、課題に取り組んでいきます。まず、来年の4月(清掃事業が区に移管される)までになんとかしなくてはならない課題があるのですが、その話の前に、ここ最近の動きとその実態をまとめておきましょう。
ここでも、やっぱり情報隠し まず、9月の定例会以降、私は、杉並病に関連して過去に都が調査した全磁気記録データを情報公開請求してみました。都は、過去の調査結果から、問題となっている杉並中継所はシロだと言い続けていますが、いま、その調査そのものに疑問が出ています。そもそも、世の中に1,700万種も存在しているといわれている化学物質(日常的にも7万種あるそうです)の中の、わずかに20や30を取り出し、その都合よく選んだ物質の量が少ないからといって、毒性物質はないと判断できるものではないはずですが・・・これまでの都の調査資料や説明書の類は、その域を出たものではありませんでした。そこで、一度、全データを検証し、これを洗い直す必要があるという指摘を受けたこともあり、まず、私は正規の手段で東京都清掃局に情報公開請求をしました。 さて、私の請求に対し、都は書面上は開示するという書面を送ってきました。そこで、私は喜び勇んで都の清掃局に出向いてみたのですが・・・ところが、現場に出向いてみると、なんと「庁内のコンピュータでなければ読みとれないものもあり、責任をもって開示できない」とかなんとか意味不明の理由をつけて、実際には全データを開示しないのです(もちろん、そんなことは、ありえません!!)。手数料やらコピー代やらで7,000円も取っておいて、それはないだろう!と思いましたので、その直後にさっそく異議申立書を提出しています。 あと少しで保存期間が終わってしまう! ちなみに、私が開示請求したのは、平成9年1月17日と11月6日実施した調査のデータで、「磁気ディスク」による全情報・全データの開示を求めています(今年いっぱい施行される現行条例では磁気ディスクによる情報開示は想定されていませんが、実際には過去に労働経済局・林業試験場や、財務局・通信課において、FDによる情報開示の前例があります)。磁気記録には、その分析のときに得られた空気情報を人間の選択の余地なしにすべて含んでいます。私の情報公開請求の結果を見てもわかるように、どうやら、都は、それを知られるのが困るようなのです。一流の研究者が見れば、その空気が異常であり、危険なことを隠せないからなのかもしれません。 とはいえ、こちらも、いつまでもぼ〜んやりとしていられる状況にはありません。この貴重なデータのうち、平成9年の分については、まもなく規定の保存期間3年を経過するのです(おそらく、その後は廃棄処分扱いになってしまうことでしょう)。来年1月には、新しい「東京都情報公開条例」が施行され、情報公開制度が一歩前進することになりますが、残念ながら、これまでの都の姿勢をみていると、保存期間が過ぎるまで時間稼ぎをしたいとしか思えない部分もあり、この条例の効果がどこまであるかは未知数です。私としては、本当に困っているのですが・・・それにしても、この一大事。都議会も、もう少し動いてくれていいと思うのですが・・・ 都の調査委員会(新設)でも、情報操作が?! さて、世間では、新たに都に杉並病に関する調査委員会が設置されたこともあり(11月16日)、いちおう新局面を迎えたかのようなイメージで報道されています。しかし、これも、実態は惨憺たるものです。 「杉並病をなくす会」の津谷先生の話によれば、ここでも、都は、思っていた以上に徹底して意図的に都合の悪い資料を隠しているようです。これでは、都が意図的に資料を選び、調査委員会の結論を都合よく操作しようとしているのかもしれない・・・こう思われても仕方ないはずです(どうやら、存在する物質の全体像を示す定性分析について、すべて資料提出がないそうです)。 そこで、私も、この調査委員会に唯一、区を代表して参加している保健衛生部長(杉並保健所長)に、この調査委員会について尋ねてみたのですが・・・やはり、この調査委員会は、まずは過去の調査結果を再検討することが主目的であって、全データの見直しまでは、どうも範疇にないようなのです。とすれば、このまま傍観していても、来年3月に出されてくる結論は、これまでの調査結果とそう変わらないものに違いありません。ここでも、打つ手なしの状況になっているのです・・・ 来年4月。区はどうするのか?今後の展望は? 来年度から清掃事業が、東京都から23区に移管されてきます。つまり、来年度からは、杉並中継所についても、杉並区が責任を負っていかなければならないのです。すでに指摘したように、平成9年の調査データなどは、きわめて重要な資料となりえるものですが、来年4月でいよいよ規定の保存期間の3年度が過ぎてしまいます。このままでは、おそらく、これは破棄処分されてしまうことでしょう。おそらく、都は、それまで時間稼ぎをし、調査データを破棄したうえで、区に責任を押しつけて逃げようというつもりなのかもしれません。 私としては、過去のデータを専門家にもう一度検証してもらったうえで、この中継所を一時操業停止し、その前後にわたって詳しい原因調査を実施する必要性を感じています。幸いにして、杉並区議会でも、私のほか10人の議員の提案で「杉並中継所の一時操業停止を求める意見書」が提出され、これが賛成多数で採択されたことは、10月第1週のこのコーナーで、すでに報告したところです。 ところが、都はおろか区ですら、これに全く聞く耳を持たず、事態はさらに悪くなったまま、今日に至っています。都も区も、中継所を一時停止して、詳しい原因調査を実施することなど非現実的と言わんばかりの態度に終始しているわけです。もっとも、もし、一時にしろ操業中止となれば、その間に出てくるゴミをどうするかという非常に難しい問題があり、私も、この件については、相当悩みましたが(民主党さんは、選挙で区長を推薦したこともあって、意見書の採択に加わりませんでしたが、おそらく、そのあたりで引っかかったのかもしれません)、あのゴミの多かったバブルの時代、実は杉並中継所は存在すらなかったわけですし、また、現在、中継所でゴミを圧縮しているといっても、実は半分に圧縮しているだけというのが現状です。調査のための一時的な操業停止という程度であれば、そう不可能なことではないはずなのです(※注)。なにしろ、人命が関わっている問題なのですから、柔軟に対応するべきなのです。 残念ながら、いまの杉並区の保健衛生部長(保健所長)も、清掃事業移管準備室長も、もともとは都の職員(いわば区に下りてきた方)であり、そんな意味では、彼らとて、都の意向や都の調査委員会の大勢に盾突くことなど、できないことでしょう。最近、他の分野では前向きな発言もみられた山田区長も、この問題に関する答弁は著しくキレを欠いており、今度の展望は見えないままです。こうして3ヶ月後に杉並中継所は、都の手を離れてしまうにもかかわらず、区の反応は鈍く、その危機意識もあまり感じられないのですが・・・いったいどうするつもりなのでしょうか? 残された期間は短いですが、もちろん、あきらめずに取り組みます。今後もこのコーナーで報告していきますので、ご意見やアドバイスをお寄せいただければ幸いです。 (※注)もちろん、真にこの問題を解決し、「杉並病」という汚名を完全に払拭するためには、区民全員がゴミの減量に協力しなくては為し得ないことです。別途、私は将来的に杉並中継所をなくすためにも、今後、具体的に「杉並中継所をなくすための行動計画・アクションプラン」を策定し、ゴミの減量に緻密に取り組むべきだと区議会で主張したところです。 |
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