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この年末、李登輝・元台湾総統が主宰するシンクタンク(台湾総合研究院)で、李登輝氏ご本人による講義を受けてきました。
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0〜22歳まで日本人として育った李登輝氏は「台湾初の直接選挙で選ばれたリーダー」であり、中華圏で史上初となる「権力の民主的・平和的移行」を実現させた政治家です。
まもなく満91歳とのでしたが、背筋はピン!と伸び、中盤まで立ったまま講義されるなど、想像していた以上にお元気で、日本の政治家には感じることのできないオーラが溢れ出ていました。 |
私費によるプライベートな訪問ではありましたが、激動時代の「生き証人」にお目にかかるのは、それだけでも価値のあることだと実感しています。
講義中、ほぼ真正面の位置に座っていた私は(写真)、ご本人から、その鋭い眼光でたびたび凝視されることがあり、2時間半の間、本当に得がたい体験をしました。貴重な機会をご提供くださった関係者の皆さんに改めて深く感謝申し上げます。
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信念なき政治家は退場を |
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李登輝氏は、@台湾総統(台湾における最高官職)の直接選挙を導入しただけでなく、A地方政府の首長直接選挙を導入したこと、B独裁を防止するため「首長の多選制限」をルール化したこと、C議員による交通違反のもみ消しを一掃したことなど、まさに「台湾民主化の父」といえる数々の実績を残されています。
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なぜ、李登輝氏が、これらの偉業を成し遂げることができたのか。ここに強い関心がありました。
ご本人によれば「政策の内容も大事だが、より重要であるのは、トップが信念をもって事に当たるかどうかだ」と説きます。 |
すなわち、国家経営は危機の連続であり、トップが意志を貫く力の源となる信仰・信念・原理・原則を持たずして、窮地を乗り越えることはできない、ということ。
政治家の右顧左眄・付和雷同が激しい昨今、信念を持った指導者が不足していることを嘆かれ、若い世代に強い期待感を示されました。
政党の理念のみに固まってしまったら政治家ではない、政策もさることながら指導者能力の修練に励むように…との激励を受け、講義は終わりました。
李登輝氏は、日本、台湾、アメリカ(農業経済学博士)と、各国で教育を受けていらっしゃるのですが、ご著書によると、そのなかでも日本の教育を高く評価されているところです。残念ながら、今回そのあたりについて具体的に質問する時間はなかったのですが、改めてご著書を読み込み、私なりに考えていきたいと思っています。
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2014年(平成26年)は、杉並区長選挙 |
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さて、2014年は、東京都知事選挙だけでなく、杉並区長選挙も予定されており、改めて行政(執行機関)のトップを選び直す「転機」を迎えています。
日本では当たり前のように定着している「首長の直接選挙」ですが、当たり前となってしまったがゆえに投票率は下がり、その節目はあまり大切にされなくなってしまいました。東京23区内の区長選挙ともなると、投票率が30%に届かないケースさえあります。
でも、よく考えてみてほしいのです。
法人格を有する地方自治体の代表権を有する者は、首長(知事・市町村長)ただ一人だけなのです。
代表権を有する者が複数人存在することの許される民間企業とは、ここが決定的に異なります。 |
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誰がなっても同じだと安易に投票してしまえば、そのツケを取り戻すために多くの時間を失うのです。いや、すでに私たちは多くの時間を失ってしまいました。
「転機」を迎える新しい年は、なんとしても失ったものを取り戻す端緒にしていなければならないと考えています。
残念ながら、いまや政治家は「将来最もなりたくない職業」のワースト1位であり、現代の日本において、李登輝氏のような人材を得るのは非常に困難となっています。むしろ、民主主義が当たり前のように定着した現代は、英雄の登場を期待することのできない時代になった、というべきなのかもしれません。
そのことは、私自身も、いま嫌というほど痛感させられています。しかし、それを嘆いていても、何も始まりません。
日本は世界最速のスピードで高齢化が進んでおり、人類が経験したことのない超高齢社会を迎えつつあります。「団塊の世代」が75歳以上となる10年後が最初の正念場となりますが、そのために残された時間は、あまりにも短いのです。
2014年度(平成26年度)は、足元から「ロスジェネの逆襲」を。半沢直樹を生み出すのは、他の誰でもない、有権者である「あなた」自身です。
現状を打開するために、新しい年の「転機」を好機をとらえ、私も全力で課題解決にあたることをお約束します。
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杉並区議会議員(無所属)堀部 やすし |