ヒートアイランド現象は改善されていない |
大事なことは、いまだにヒートアイランド現象が改善されていないという点です。
とくに民有地における緑化活動については課題も少なくありません。したがって、緑化指導(行政指導)をする立場にある者の説明にいかに根拠を与えるか(説得力を与えるか)は、非常に重要な論点です。
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「快適な住環境を維持し、ヒートアイランド現象を改善していくためにも、できるかぎりの緑化に協力していただきたい」と説明しても、「すでに緑被率の達成目標はクリアしているのに、どうしてそこまでしなきゃいけないの?」と言われてしまったら、どうするのでしょう? |
また、「既に目標値を達成しているのに、なぜ今後も新規緑化に補助金を出す必要があるのか」という素朴な疑問に対しては、確実に答えに窮することになります(監査請求が出かねないですよ?)。屋上緑化や壁面緑化への補助金は、他区と比べても高水準ですから、これに対する説得力にも欠けることになります。
しかし、ヒートアイランド現象の原因は、緑地・水面・裸地などの減少、さらには舗装面、建築物(アスファルト、コンクリート面等)の増加が大きな要因となっています。今後も再開発等でますます中高層建築物が増加する傾向にある中では、これまで以上に高い緑被率目標が必要であることは間違いないのです。
緑被率を無視して、この問題を語ることはできない |
現在でも、民有地における緑化活動については、区においても一定の定めをおいています。しかし、どの程度まで熱心に緑化に協力してくださるかは、最終的に所有主の意思にかかっている部分があることは否定できません。
ヒートアイランド現象等に危機感を感じ、緑化に理解のある所有主なら、規定以上の緑化にも熱心に協力してくださるでしょう。しかし、そうでない場合は、必要最低限の施設整備で済まされ、その後もおざなりにされないとも限りません。
以前の緑被率目標を達成した現状においても、「ヒートアイランド現象」等は全く改善されていないのですから、緑被率についての目標値は引き上げるべきと考えます。
行政指導などというものは、行政手続法の施行以降、非常に脆いものになっています。今回の数値目標設定がそのままになったとき、これが緑化指導の際の妨げになる可能性はゼロではないでしょう。
緑被率は、個々の緑化目標の基本となるものであり、個々の施策が進展すると、原則的には緑被率の数値も向上する関係にあります。したがって、緑被率を無視して、この問題を語ることはできないのです。
なお、「杉並区みどりの基本計画」改定素案は、現在、区民意見の提出手続(パブリック・コメント手続)にかけられています。
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