優遇策が正当化できなくなってしまうのでは? |
今回の改定素案では、杉並区全域を「緑化重点地区」に定めることを打ち出しています。従来の重点地区は、一部のみで「モデル地区」に過ぎないものでしたから、これは大いに評価できる改定です。
今回の改定によって、今後は一部の「モデル地区」だけでなく、杉並区全域で各種支援策・関連税制優遇等を取り入れていくことができるようになるでしょう。
しかし、それでも目標設定が現在の数値のままでは、「すでに緑被率の達成目標が実現されているのに、なぜ優遇を継続しなければならないのか?」という素朴な疑問が出てこないとも限りません。
財政難の今日において、待ったなしの政策課題は、この問題だけに限らないからです。
これに対し、区は「最低限20%を維持することが目標」といったような説明の仕方をしています。
しかし、20.9%を達成した現時点の水準で考えてみると、そのような説明は「みどりを増やす必要がない」かのような説明に聞こえてしまうのですが・・・?(矛盾がなければ、別にそれでもよいのですが、他の部分の記載との矛盾は否めないのです)
このような説明では「みどりを維持する施策」への公金支出を正当化することができても、「みどりを増やす施策」への補助金支出を正当化できないでしょう。基本計画といえども、行政計画の一種です。理想の実現と計画の着実な推進を図るには、一定の根拠と説得力のあるものにする必要があります。
地域社会の環境変化に対応すべき |
杉並区では、平成11年に現在の「杉並区みどりの基本計画」を完成させています。平成30年までの事業計画の基本となるものです。
既にそれから6年が経過し、この間には(1)都市緑地法の誕生(旧都市緑地保全法の改正)、(2)みどりの施策の進捗状況による環境変化、(3)最新版「みどりの実態調査」の結果、など新しい状況が生まれてきています。
このほか、現在、杉並区内においては、警察大学校移転跡地(約13.7ha。その一部は杉並区内)や三井高井戸グラウンド(約8ha。杉並区の保護樹林/通称:三井の森がある)などで、再開発や宅地化の動きがみられますが、それらにも注意を払っていかなければなりません。
このように、社会環境は刻々と変化しています。これら社会の変化を踏まえた見直しを行うことが不可欠です。
なお、「杉並区みどりの基本計画」改定素案は、現在、区民意見の提出手続(パブリック・コメント手続)にかけられています。
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