杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



今回の選挙は有効なのか(5)
日本を歪める「一票の格差」 投票価値の平等は民主主義の基本

   「需要」に見合った公共投資を進めるために


 戦後60年で、日本の社会構造は大きく変わった。当然、新しい社会構造に見合った改革を進めることが必要である。

 まず、今後も議会制民主主義を維持していくなら、現在の人口比率に見合った議席配分をすることを、その選挙区割りの大前提にしなければならない。これは民主主義を擁護するという意味だけでなく、需要に見合った公共投資を進めるための第一歩でもある。

 偏った議員構成のままで、いくら議論しても、まともな議論にはならない。

 野党議員の中にも、地方に行くと、○○高速道がほしい、××空港がほしい、そのうえで本質を外れたバラマキ補助金の増加にも賛成といった主張に賛成している者がいたりするのだから。私が「今後の行く末にも疑問」と冒頭で書いたのは、この不安である。

 なお、これは少数意見の排除を狙った意見ではない。すでに述べているように、私の主張は、都道府県単位の選挙区をやめて、選挙区をブロック化し(道州制を念頭においている)、そのうえで議員定数の人口比例を徹底させるものである。

 いうまでもなく、選挙区の定数が増えれば(大選挙区制になれば)、むしろ少数意見は反映しやすくなるくらいだ。小選挙区論者には不評かもしれないが、そもそも参議院は「良識の府」なのだから、衆議院と同列に考えるべきではないだろう。


 ドイツでは、1票の格差が25%を超えた場合に、改正を義務付ける法律があるという。だが、実際には25%に到達する前に改正してしまうのだそうだ。それが「議会の良識」であり、「議員の見識」なのだという。日本の現状は、なんと恥ずかしい状態なのだろうか。

 もし今回も、参院選の無効訴訟を提起する人が現れるなら、今度は勝ち目があるのではないかと思う。今回の参院選については、先に述べた理由から、少なくない裁判官が、政府与党に遠慮する必要が全くない状態にある。

 そもそも、これ以上、選挙制度の不平等を放置し続けたら、最高裁の違憲立法審査権は、いったい何のためにあるのか分からなくなってしまう。今度という今度は選挙を無効にしなければ、三権分立は嘘だったということにもなる。

 この訴訟は、普通の訴訟と異なり、高裁が第一審となるので、意外に早く終わる。前回の2001年参院選の訴訟が選挙後約2年半で決着がついたことを考えると、今回も提訴されれば、2007年(平成19年)までには判断が下されるだろう。

 一時的な混乱を覚悟しても、「雨降って地固まる」ことを期待するべき時である。裁判所の英断を期待したい。

  • なお、同様の「一票の格差」は、各都道府県レベルの議会の選挙区にも存在している。これも同様の方法での改善が必要だろう。ちなみに、そのとき東京都議選・杉並選挙区は、少なくとも6議席から5議席に減少することになる。

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1.最高裁による異例の「警告」
2.鳥取県民1人=東京都民5人
3.人口比5倍を超える格差を正当化できるか
4.偏向した議席配分が失政を産む
5.「需要」に見合った公共投資を進めるために【このページ】


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