杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線2004



忘れられた「年金問題の核心」3
政治家の未納問題だけで話題を終わりにしないために
2004年5月
   3.「国が年金資金で株を買う」ことの意味


 調べてみると、アメリカをはじめ多くの先進国では、国家が年金資金を株に注ぎ込むようなことはしていなかった。株を使いたければ、個人の年金で(401Kで)どうぞ、ということなのだろう。年金資金を株で運用している国は少数派だった。

 考えてもみれば、それは当たり前の理屈だと思う。国が年金資金を株で運用しようとすれば、銘柄選定において行政介入・政治介入(官僚や政治家の恣意的な市場介入)が不可避となってしまうからである。

 「国が年金資金で株を買う」ということは、ハッキリ言ってしまえば、そういうことであって、市場における健全な競争を歪めているということである。

 もちろん、そんなことはあり得ないと、官僚も政治家も言い張るだろうが。また、関係者や投資家にしても、年金積立金からの資金流入が大幅に縮小すれば、株価の下落要因になる可能性も大きいから、誰も文句を言わないだろうが。

 しかし、実際に購入している個々の銘柄が何かについて公表されていないことからも明らかなように、不透明感は拭えない。

 個人が各自任意で(自己責任で)、老後のための年金資金を株に投資するのは、結構なことだとは思う。だから、日本型401kも大いに使われるべきと思う。だから、私は個人が株で資金運用するのがいけないと言っているわけではない。

 150兆もの潤沢な年金資金を使って国家機関が自ら株を購入するのは、好影響より悪影響のほうが大きいと言いたいのである。国家機関が民間企業の株主になるということがどういうことなのか、一度よく考えてみなければならない。





1.はじめに
2.年金資金の運用損
3.「国が年金資金で株を買う」ことの意味 【本稿】
4.国が株主になると、どうなるか?
5.どうする不良債権
6.官僚のための「国営保険会社」は廃止すべき
7.公的年金は賦課方式か税方式で あとは401kに
8.年金資金運用と「政官業の癒着」
9.これで年金改革を終わりにさせないために


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