杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線2004



忘れられた「年金問題の核心」2
政治家の未納問題だけで話題を終わりにしないために
2004年5月
   2.年金資金の運用損


 年金を充実させるのは理想である。しかし、そのためには各自が資金運用に責任を持つことが大事である。年金を充実させるために国家が多額の資金を運用するのは、そもそも過ちの元だったのだ。

 たとえば、年金資金は、その積立金の一部を「株」に投資したことで、過去に6兆円もの運用損を出したことがある。

 他人のカネだと思うと、ついつい管理が甘くなってしまうのだろう。事実、官僚のみなさんの年金である国家公務員の共済年金については、堅調に運用されているようである(株への投資は実に少ないという)。

 つまり、大きな運用損を出していたのは民間人の分だけだったのである。

 官僚の説明によれば、年金資金は長期的な運用を行うものだから、運用損に一喜一憂することはないというが、だったら、公務員の年金資金についても、民間分と同じ銘柄・同じ組み入れ比率で株式運用してみたら良いと思うのだが?なぜ、そうしないのだろう?

 かくしてマイナス運用をしておきながらも、その責任が問われた担当者(職員)はいない。だから、年金積立金の資金運用を国に任せておくこと(他人任せにしておくこと)は、非常に危険なことだと、まず認識しなければならない。

 たしかに、この運用損は、昨今の株高で、それなりに取り戻しているのかもしれないが(現時点では昨年度1年間としてのデータはまだ未公表なので何とも言えない)、こうした無責任体質が変わらなければ、今後への懸念は消えない。

 しかし、国家機関が年金資金を使って民間企業の株主になることには、大きな問題がある。この国が自由主義国であることを考えてみても、その問題は深刻である。次にその問題を取り上げたい。





1.はじめに
2.年金資金の運用損 【本稿】
3.「国が年金資金で株を買う」ことの意味
4.国が株主になると、どうなるか?
5.どうする不良債権
6.官僚のための「国営保険会社」は廃止すべき
7.公的年金は賦課方式か税方式で あとは401kに
8.年金資金運用と「政官業の癒着」
9.これで年金改革を終わりにさせないために


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