杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線



第2の「赤池」「夕張」とならないために  
土地開発公社はもう廃止すべきだ(3)
2007.
(3)土地開発公社の組織としての問題点

 土地開発公社の責任者は区の管理職で占められ、評議員は区議会議員で占められており、実質的には区と一体の組織である。

 しかし、これらの会議は、正式な議会審議と異なって公開性に乏しく、いつ、どこで、どのように会議運営がなされているのか、一般区民には容易に知ることのできないようになっている。

 また、議会における審議の公開性に比べ、会議内容に対するアクセスも悪く、そこに大きな差が見られる。このため、用地購入の適否、つまり土地開発公社の先行取得が適切であるか否かの判断は、極めて密室的なものになりがちである。

 このように、公社を通じて購入する用地については、不透明感が強いため、土地開発公社が用地を購入するに当たっての判断基準は何なのか、庁内における意思形成過程はどのような流れになっているのか、外部からは判断しにくいものがある。

 土地開発公社は、他の外郭団体と比較しても、とりわけ受けている外部チェックや外部評価は非常に弱いと言わざるを得ないのである。


 ●役員に民間人の登用が必要

 土地開発公社の理事が、区の管理職ばかりとなっている理由は何なのか。

 また、同じく評議員が区議会議員ばかりとなっている理由はなぜなのか。いかに100%の出資者とはいえ、あえて制度的に独立した団体としなければならない理由があったことを考えるなら、積極的に外部評価を受けるという意味で、民間人を積極的に登用する必要があるのではないだろうか。

 また、他の外郭団体の場合(出資比率が高く、区と密接な関係がある8団体)については、これまで、公社等経営評価、また財団等経営評価という形で外部評価が行われてきたところである。

 しかし、土地開発公社は、これらと同じように区と密接な関係がある団体であるにもかかわらず、この経営評価の対象から外れており、およそ積極的に客観的な外部評価、第三者評価を受けているとは言いがたい状態にある。

 確かに土地開発公社自体が区民に直接サービスを提供することはないが、、逆に、区民にとって縁遠く、存在の見えない団体だからこそ、独自に外部評価を受けるとともに、公社の透明性を高める必要があるはずである。

 現状のような身内のみによる相互チェック体制は、内部統制のあり方としてかなり問題である。


 ●区の情報公開条例の対象とすべき

 以上のように、土地開発公社は外郭団体ではあるものの、人事、財政などの実質から見て、独立した外部団体などとは言えない性質を持っている。

 事実、土地開発公社が先行取得した土地は、すべて後刻そのまま区が買い取っているということからもわかるように、まさに区と一心同体の公社となっている。

 このような実態から考えれば、土地開発公社については、区と同様の形態で積極的な外部評価を受けることはもちろんのこと、情報公開制度についても、区と同様としなければならないと考えるのだが、制度的には依然として別個独立した形となったままである。

 かつて政府は、土地開発公社など地方三公社について、その存在の特殊性から、行政本体の情報公開条例の実施機関に含めても差し支えない旨を示しているが、その実質を踏まえれば当然のことだ。

 土地開発公社は、事実上、行政と一心同体の組織であることを踏まえ、そろそろ明確に区の情報公開条例上の実施機関と位置づけるべきである。

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