杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線
対案なき「多選自粛条例」の廃止は問題である(4)
平成23年(2011年)1月


 【疑問2】 形骸化していた今回のパブリックコメント手続

 多選自粛条例を廃止するにあたり、パブリックコメント手続(区民意見の提出手続)が実施された。
 パブリックコメント手続は、前区政時代に導入した制度。重要事項を決定する前に、必ず区民意見を公募し、最終意思決定の判断材料とすることを意図している。従来は寄せられた意見に対する考え方も各々に示されてきた。
 ところが、新区長になって、この手続が形骸化されてしまったのである。

●ハナから廃止方針は変えないと明言

 今回のパブリックコメント手続は、10月20日から11月19日が実施期間となっていた。
 ところが、期間中の11月12日、田中区長は、パブリックコメントの結果がどうであったとしても、廃止方針を変えるつもりがない旨、強い意思を持っていることを明らかにしたのである(議会運営委員会)。
 期間終了前から、手続きを尊重する意思のないことを表明してしまったのである。

●パブリックコメントの結果は反対多数

 要するに、田中区長は、何のためにパブリックコメント手続を実施しているのか、その趣旨を全く理解していなかったのである。
 このように実施されたパブリックコメント手続の結果は、廃止賛成が70件、廃止反対が86件となっていた。
 この結果が区民意見のすべてと言うつもりはない。だが、それでも区長がどうしても廃止したいのであれば、まずは結果を踏まえたうえで、より積極的に説明責任を果たす必要があったというべきだろう。
 ところが、実際には、それとは全く逆の政治手法が選択された。
 パブリックコメントで寄せられた意見に対する区の回答も、以前に比べ簡略化されたものになっていた。議会側にも周到に根回しされ、審議は極めて低調なものに終わった。だからこそ、議員の9割が廃止に賛成し、11月25日に提案された廃止条例案が、12月初旬にあっけなく可決してしまったのである。
 これは、区長の主張する「住民自治」から最も遠い政治ではないだろうか。


次のページ>>なぜ当選直後に廃止する必要があったのか
   4  





杉並 堀部ホーム ] 杉並 堀部ご意見はこちらへ

ツイッター