杉並区議会議員(無所属)堀部やすし最前線
参院選で大量の無効票 区議が原因を追究/その後メディアが相次いで報道
平成22年(2010年)8月8日/8月18日


 今回の参院選において、杉並区にのみ大量発生した無効票。都政新報(7月30日/8月13日)が、私の主張や調査活動を取り上げつつ、問題を詳細に報道している。

 杉並区における無効票の比率は7.54%(参院選比例区)。東京都平均2.63%の約3倍である。杉並区だけが突出して悪い数字なのだ。(参考/杉並区における無効票の内訳

 これまで私は、この「無効票問題」について、主にツイッター上で繰り返し問題提起をしてきた。これを受け、複数のメディアの取材も受けてきた。

 私のほうからプレス・リリースしたことはないのだが、今回の都政新報のほか、東京新聞や週刊プレイボーイなども相次いでこの問題を取り上げている。

 また、ツイッター上でも、タレントの麻木久仁子さんなどが関心をお寄せになり、私の情報発信に反応されている(7月20日@7月20日A7月21日)。

 この問題への関心の高さを実感する。「うやむや」にすることのできない重大な問題である。
 ◆投票用紙2枚を同時配付した杉並区

 杉並区の場合、今回は「トリプル選挙」となった特殊性があった。参院選、区長選、区議補選が同日選となったのである。

 その結果、杉並区民は、投票用紙4枚に候補者名や政党名を自書することになった。このため、最初は単に選挙が増えたから、自然と無効票が増えたのだろうという見方もあった。

 だが、滋賀県大津市もトリプル選挙(参院選、知事選、県議補選)という意味で同じ環境にあったが、大津市における無効票は全体の3.2%(比例区)に過ぎない。同じトリプル選挙であったにもかかわらず、杉並区は大津市の2倍も多い無効票を出しているのである。

 なぜ、杉並区で、これほど多くの無効票が出たのか。

 無効票に占める白紙投票の少なさ(割合の少なさ)から考えると、執行方法に問題があったのではないかと考えられる。すなわち、投票用紙の「2票同時配付」が原因であった可能性が高いのである。

 杉並区では、投票の際、「参議院選挙区」と「参議院比例区」の2票を同時に手渡ししていた。記載台において2枚の投票用紙を同時に書かせ、同時に投函させていたのである。

 ◆過去に忠告していたのだが

 実は、私は過去(平成15年の衆院選)において、衆院選比例区(自書式)と裁判官国民審査(記号式)の2票を同時配付した杉並区選挙管理委員会に対し、このような投票方法は止めるべきだと進言していた。

 これは、当時の杉並区議会(定例会・一般質問)にも記録が残っている(平成15年11月27日)。

 幸か不幸か、この衆院選の時に行われた「2票同時配付」は、一方の投票が記号式であったため(裁判官国民審査は×のみをつける投票方式であったため)、結果的に深刻な課題を引き起こすことはなかった。参院選とは異なり、衆院選比例区においては、政党名のみを書く制度だったことも、不幸中の幸いだったのだろう。

 しかし、今回の場合、同時配付された2枚は、ともに「自書式」の投票用紙である。

 このような投票方法では、書くべき投票用紙を間違えても、不思議はない。また、参院選における比例区は、非拘束名簿式であることから、候補者個人名を書くことを前提とした選挙制度になっている。選挙区と比例区の候補者を勘違いして、うっかり書き間違えたとしても、何ら不思議はないのだ。

 ◆課題を徹底検証するために

 そこで、私はこの問題を詳細に検証するため、選挙管理委員会に対して、さらに必要な情報を開示するよう求めた。

 しかし、選挙管理委員会は、その決定期限を延期したうえで、最終的に8月6日になって、これを開示することはできないと私に通知してきた。7月11日の選挙執行からこの間、約1ヶ月である。

 必要な検証作業を通じて、選挙執行のあり方を冷静に見直すことができると考えてきた私にとって、今回の非開示決定は予想外のことであった(決定延期が通知されるまで察知できなかった)。なぜ無効票について全面的に非開示とする必要があるのか、全く理解できない。私は選挙の効力を争うつもりはないのだが。

 8月13日の都政新報も、今回の非開示決定に疑問を示している。

 アメリカでも、かつて無効票が問題となったことがある。その際、アメリカでは有力メディアが共同で州に情報開示を求め、これを検証した。その検証結果や問題提起を受けた連邦政府は、投票支援法(選管業務の改善を図るための助成等を定めた法律)を成立させている。

 日本でも、しっかり情報開示を行い、検証することが必要だ。そもそも選挙無効訴訟の提訴期限は、すでに経過しているのだから、いまや一定の範囲の情報を開示しても困ることはない。選管業務のあり方を純粋に再検討することだけを目的に検証できる段階にある。

 トリプル選挙における選挙業務に困難が伴うことは理解している。今回は国の事業仕分けもあり、コスト削減の影響もあっただろう。しかし、それでも、今回のことを過ぎたこととして「うやむや」にすることは許されない。杉並区全体で選挙をきちんと振り返り、今後の選挙執行のあり方をきちんと議論する必要がある。

 しかし、このままでは課題を十分に検証することができない。選挙管理委員会の姿勢が変わらないようであれば、非開示決定に対する異議申立や取消訴訟を提起するなど、もう一段進んだ法的手段によって情報開示を求めることを検討しなければならない状況にある。

 以上のように、選挙管理委員会が一部情報開示を拒んでいるため、検証作業は思うように進んでいないが、今後、9月の本会議(一般質問)を皮切りに、さらに強力な取り組みを進めていく予定である。今回のような事態を二度と繰り返してはならない。ご支援をお願いしたい。
杉並区議会議員(無所属) 堀部 やすし


 以下、記事の一部抜粋し、紹介します。

 参院選で大量の無効票
 用紙の同時配付が原因? 区議が原因を追究
都政新報 2010年(平成22年)7月30日号

 11日に投開票された参議院議員選挙で、区長選と区議補選とのトリプル選挙になった杉並区では、比例区分で約2万票、選挙区で約1万票の無効票が発生し、原因追究を求める声が上がっている。

 無所属区議が区に情報公開請求を提出し、無効票の実態を明らかにすることを求めた。(中略)
  参院選・比例区 東京選挙区
杉並区 東京都全体 杉並区 東京都全体
投票総数 267,933 6,232,585 267,937 6,233,975
無効票数 20,210 163,813 10,791 136,207
無効票率 7.54% 2.63% 4.02% 2.18%

 「参院選比例区への投票で、他の22区の無効票の割合は2%台なのに、杉並区は7・54%。区の前回までの参院選と比較しても、今回は異常だ」。無効票の多さを問題視する堀部康区議(無所属)は、このように指摘する。(中略)

 堀部区議は今回の参院選に関連して、杉並区と同様にトリプル選挙となった大津市(滋賀県)のケースを示して問題点を明らかにする。(中略)

 同区議は「杉並区が行った『二つの投票用紙の同時配布』を大津市ではしていない。これが2自治体の差ではないか」と指摘。(中略) 無効票の中で白票(無記名票)が少ない点も、その裏付け証拠だ。(中略)

 「投票意志はあったが、単純にミスしたのではないか」(中略)「今回の自署式の投票用紙の同時渡しが、どの程度の混乱を引き起こしたかを詳細に調べ、今後の教訓にする必要がある」と主張する。

 「単純ミス」説は、現段階ではあくまで仮説。投票用紙を精査する必要があるとして、同区議は区に無効票を対象にした情報公開を請求した。

 公職選挙法では、投票用紙について一定期間の保管を義務づけているが、開示に関しては定めていない。「無効票は選挙管理上、除去扱い。選挙自体の秘密投票の原則を侵さない」(同区議)と話した。(中略)

 堀部区議は、選挙業務の困難さを認識した上で、「うやむやにせず、選管を中心に区全体で選挙をきちんと振り返る必要がある」と強調する。「コスト削減のしわ寄せなども明らかにして、地方自治体の選挙執行のあり方を議論すべきだ」とし、9月議会で取り上げる方針だ。



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